巳(漢字)

普及版 字通 「巳(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 3画

[字音]
[字訓] やむ・ああ・み

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
蛇の形。十二支の第六「み」に用いる。〔説文〕十四下に「已(や)むなり。四、陽气巳(すで)に出で、陰气巳に臧(をさ)まる。物見(あら)はれてす。故に巳を蛇と爲す。象形」といい、十二支獣の意によって説を成しているが、卜文では「み」にあたる字に子の字を用いており、〔説文〕の説は根拠がない。字は蛇の象形であるが、金文では〔大盂鼎(だいうてい)〕「巳(ああ)」、〔呉王光鑑(ごおうこうかん)〕「け巳(や)」、また〔欒書缶(らんしよふ)〕に「巳(すで)に其の吉金を(えら)ぶ」、〔公盤(さいこうばん)〕に「受すること巳(や)むこと毋(な)し」のように用いる。古くは巳・已の字の区別が明らかでなく、金文の用義例によっていえば、巳はのちの巳・已の字に用いられている。おそらく声義の通ずる字であったのであろう。

[訓義]
1. やむ、おわる。
2. すでに。
3. 感動詞、ああ。
4. 似と通じ、つぐ。
5. 祉と通じ、さいわい。
6. 也(や)と通じ、終助詞の、や。
7. 十二支の、み。

[古辞書の訓]
名義抄〕巳 スデニ・ヲハル・ヤム・ワキマフ・モチヰル・スツ・スユ・オコタル・ノミナリ・オサフ・ハナハタシキ/巳々 ヤムナムヤムナム/而巳 ナラクノミ・マクノミ 〔字鏡集〕巳 マツリゴト・ヤム・ツク・ヲハル・オコル・スツ

[部首]
〔説文〕に以を巳の反文としてこの部に属するが、以の初形は(し)と同じく、は耜(し)(すき)の初文。その鍬形の部分を示す象形。巳は蛇の象形字で、形義の関係はない。以は金文ではのち多く台を用いる。

[声系]
〔説文〕に巳声として祀・など六字を収める。祀の従うところは蛇形。自然神を祀ることを祀という。れた川の水が湖池をなすもので、巳はその湖池の平面形。また(乳房の象形)を吸う子の形で、巳は幼子。煕(熙)とはその楽しむさまをいう。・煕の従うところは、みな巳とは異なる象形の字である。

[語系]
巳jiは止tjiと声近く、止に停・息の意がある。巳はその声を以て通ずる字である。

[熟語]
巳会巳月巳時・巳
[下接語]
吉巳・建巳・元巳初巳・除巳・上巳

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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