岸和田(市)(読み)きしわだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岸和田(市)」の意味・わかりやすい解説

岸和田(市)
きしわだ

大阪府南西部、大阪湾に臨む工業都市。1922年(大正11)市制施行。1938年(昭和13)土生郷(はぶごう)村、1940年有真香(あまか)、東葛城(ひがしかつらぎ)の2村、1942年春木(はるき)、山直(やまだい)の2町と南掃守(みなみかもり)村、1948年(昭和23)に山滝(やまだき)村を編入。2002年(平成14)特例市(現、施行時特例市)となる。市域は南は和泉(いずみ)山脈和泉葛城山(858メートル)から北西に泉南丘陵、洪積台地、海岸平野に至り、その間を牛滝(うしたき)川、津田(つだ)川が縦谷をなして流れ、内畑(うちはた)などの小盆地をつくる。交通は大阪、和歌山両市を結んで南海電気鉄道南海本線、JR阪和線、阪和自動車道、国道26号が走り、海岸沿いに阪神高速道路湾岸線が通じる。開発は古く、摩湯山古墳(まゆやまこふん)(国指定史跡)や奈良時代行基(ぎょうき)築造久米田池(くめだいけ)がある。南北朝時代には南朝の和田氏が台地末端近くに城を構えて「岸の和田」とよばれ、これが地名となった。近世岸和田藩岡部氏5万3000石の城下町として整備され、また和泉木綿などの集散で栄えた。明治以降、近代紡績工業が発達し、それに関連して紡績機械、管巻(くだまき)、噴霧機器などの機械工業やレンズ工業もおこり、泉州工業地域の中枢地となった。第二次世界大戦後は臨海工業造成事業が進められ、大阪鉄工金属団地、木材コンビナートなどが設置された。名所・史跡には牛滝山と修験(しゅげん)道場の霊地大威徳寺(だいいとくじ)、久米田池と久米田寺岸和田城(千亀利(ちぎり)公園、国指定名勝の八陣の庭)、桃山様式を伝える積川神社(つがわじんじゃ)、兵主神社(ひょうずじんじゃ)の本殿(ともに国指定重要文化財)がある。和泉葛城山ブナ林は国の天然記念物。牛滝山に牛滝温泉がある。9月15日、16日、10月6日、7日には、だんじり祭が行われる。面積72.72平方キロメートル、人口19万0658(2020)。

[位野木壽一]

『『岸和田市史』全8巻(1976~2005・岸和田市)』


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