葛城山(読み)かつらぎやま

精選版 日本国語大辞典 「葛城山」の意味・読み・例文・類語

かつらぎ‐やま【葛城山】

(古くは「かづらきやま」)
古事記(712)下「又一時(あるとき)、天皇葛城山の上に登り幸(い)でましき。爾に大猪(おほゐ)出でき」

かつらぎ‐さん【葛城山】

(古くは「かづらきさん」)
[一] 奈良県大阪府の境、金剛山地にある山。広くは、金剛山を含めていう場合がある。修験道最古の霊場。標高九五九メートル。大和葛城山
[二] 和歌山県と大阪府の境、和泉山脈の主峰。山頂北面のブナの林は天然記念物。標高八五八メートル。和泉葛城。

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デジタル大辞泉 「葛城山」の意味・読み・例文・類語

かつらぎ‐さん【葛城山】

奈良県と大阪府の境にある山。標高959メートル。古くは南方にある金剛山を含めていった。修験道の霊場。謡曲「葛城」の地。大和やまと葛城山。
和歌山県と大阪府の境にある山。和泉いずみ山脈の主峰で、標高858メートル。和泉葛城山

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改訂新版 世界大百科事典 「葛城山」の意味・わかりやすい解説

葛城山 (かつらぎさん)

奈良県と大阪府の境をなして南北にのびる金剛山地の一峰。標高959m。水越峠を隔てて,南隣の金剛山とともに金剛生駒国定公園に含まれる。葛城山は広義に金剛山地全体を指す場合もある。和泉葛城山に対して大和葛城山ともいう。山頂からの眺望に恵まれ,1967年奈良県御所(ごせ)市から山上までロープウェーが開通し,山上に国民宿舎,自然研究コースなどの施設が整えられた。葛城山の南側に国道309号線が越える水越峠がある。江戸時代初期に金剛山から流下する水を人工的に分水して水越峠を越えて大和側へ流れるようにしたのが現在の水越川で,水越峠の地名は分水界を越えた川に由来する。
執筆者:

修験の山として知られる葛城山には,金剛山と,戒那山,天神山とも呼ばれる大和葛城山,そして和泉葛城山がある。金剛山には一言主神をまつる葛木神社,葛城山の本地仏をまつる転法輪寺(金剛山),高鴨味耜高彦根神社,葛城水分神社がまつられるほか,周辺にも古代以来の伝統ある神社が多い。葛城山一帯は修験道の開祖役小角(えんのおづぬ)の伊豆配流伝承をはじめ,記紀の伝える土蜘蛛反抗伝承,一言主神の土佐配流伝承など,古代大和朝廷に敵対し宗教的威勢を保持した伝承が伝えられている。金剛山,犬鳴山七宝滝(しつぽうりゆう)寺を拠点とした葛城修験は,友ヶ島から亀瀬宿に至る《法華経》二十八品ゆかりの28宿を設け,写経,納経を主とした修行が続けられ,後には本山派修験にとっても重要な修行地とされた。当山派三十六正大先達のうち葛城山系に属するものも多い。
執筆者:

葛城山 (かつらぎさん)

大阪府と和歌山県の境をなし,東西にのびる和泉山脈の主峰。標高858m。金剛山地の葛城山と区別して和泉葛城山ともいう。南側は断層崖で紀ノ川の河谷に面し,北側は大阪平野に向かってゆるやかに移行している。山上には雨乞いの神事で知られる八大竜王社があり,古くは役小角(えんのおづぬ)の修行地と伝えられ,中世以来修験道の行場であった。西日本では珍しいブナの自然林がみられ,ブナの南限地に近く,天然記念物に指定されている。付近は紀泉高原と呼ばれてハイキングコースとなり,登山者が多い。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「葛城山」の意味・わかりやすい解説

葛城山
かつらぎさん

大阪府の南東,奈良県の境界にある金剛山地の主峰の一つ。標高 959m。和泉山脈の葛城山と区別して河内葛城山または大和葛城山ともいう。金剛山は水越峠を隔てて南に屹立する。山頂からの眺望がよく,ロッジやキャンプ場があり,奈良県側からはロープウェーが通じる。南斜面にはツツジが広く群生し,開花する5月頃は壮観を呈する。金剛生駒紀泉国定公園に属する。

葛城山
かつらぎさん

大阪府と和歌山県の境界にある和泉山脈の一主峰。標高 858m。金剛山地の葛城山と区別して和泉葛城山ともいう。山頂に八大竜王社 (別名石の宝殿) があり,雨ごいに霊験があると伝えられる。一帯はブナの原生林で,天然記念物に指定。登山,ハイキングの適地。

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事典・日本の観光資源 「葛城山」の解説

葛城山

(奈良県御所市)
七高山」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の葛城山の言及

【役行者】より

…7世紀末に大和国の葛城(木)山を中心に活動した呪術者。生没年不詳。…

【金剛山】より

…1966年大阪府の千早赤阪村側からロープウェーが通じた。葛城山とともに金剛生駒国定公園に含まれる。【水山 高幸】
[歴史]
 古くは葛城山と呼ぶ。…

※「葛城山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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