山都(町)(読み)やまと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山都(町)」の意味・わかりやすい解説

山都(町)
やまと

熊本県中東部、上益城郡(かみましきぐん)にある町。2005年(平成17)阿蘇(あそ)郡蘇陽町(そようまち)、上益城郡矢部町(やべまち)、清和村(せいわそん)が合併して成立。阿蘇南外輪山と九州山地にはさまれ、東は宮崎県に隣接。北部はなだらかな高原、中央部は丘陵、南部には急峻な山地が連なる。その山地に源を発する五ヶ瀬川(ごかせがわ)は、宮崎県側からいったん町の西部に入って蘇陽峡(そようきょう)の渓谷を刻み、のち宮崎県境となって北東に流れ、東に流れをかえて再び宮崎県に入り、日向灘(ひゅうがなだ)へ向かう。同じく九州山地に発する緑川(みどりかわ)は、町の中心部を流れる大矢(おおや)川などと合流、西方に向かい、有明海に至る。蘇陽峡は、高さ100メートル以上の絶壁が10キロメートルも続く景勝地で、また緑川とその支流には、矢部四十八滝とよばれる多くの滝があり、重要な観光資源となっている。町の東部を南北に国道265号、中心部近くを東西に国道218号が走り、218号は西部で国道445号に合流。山林原野が町域の約7割を占め、米麦作のほか、キャベツ・茶・栗などの栽培、高原での牧畜が盛ん。1854年(嘉永7)に緑川支流の轟(とどろき)川に架けられた水路橋の通潤橋(つうじゅんきょう)は、国指定重要文化財で、轟川への放水に多くの観光客が集まる。大平(おおひら)地区に伝わる清和(せいわ)文楽は県無形文化財の指定を受けている。面積544.67平方キロメートル、人口1万3503(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例