山下洞人(読み)ヤマシタドウジン

デジタル大辞泉 「山下洞人」の意味・読み・例文・類語

やました‐どうじん【山下洞人】

昭和43年(1968)に、沖縄県那覇市山下町の洞窟遺跡で発見された化石人骨女児大腿骨だいたいこつ腓骨ひこつ脛骨けいこつとともに、鹿の骨を加工した骨角器出土放射性炭素年代測定法結果は、約3万2000年前の更新世後期であることを示し、現生人類の人骨であることがわかった。日本国内では最も古い化石人骨である。山下人

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山下洞人」の意味・わかりやすい解説

山下洞人
やましたどうじん

沖縄県那覇市山下町の山下町第一洞穴遺跡から出土した旧石器時代の人骨。8歳ほどの女児のものとみられる大腿骨(だいたいこつ)、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)各1本がみつかった。放射性炭素(C‐14)による年代測定では3万2000年前、すなわち更新世(洪積世)後期のものであることがわかった。旧石器そのものは発見されていないが、鹿(しか)の角や骨を加工した骨角器を伴うという特徴がみられる。人骨の分析結果によると、同年齢の現代人より筋肉の発達した体形はしているものの、現生人類(ホモ・サピエンス)と断定されている。日本人の起源を東アジアレベルで考えるうえでの重要比較資料として注目を集めている。

[高良倉吉]

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