小迫辻原遺跡(読み)おざこつじばるいせき

国指定史跡ガイド 「小迫辻原遺跡」の解説

おざこつじばるいせき【小迫辻原遺跡】


大分県日田市小迫にある集落跡。辻原と呼ばれる標高約124mの台地上に所在する、旧石器時代から中世にわたる複合遺跡。とくに、2基並んで発見された大規模な環濠遺構は、わが国最古の豪族居館跡であることが判明し、1996年(平成8)に国の史跡に指定。1号居館は、濠の外側で1辺約47mの正方形をしており、濠の内側では掘立柱建物2棟を検出。2号居館は、東西約37m、南北約36mの方形で、濠は上幅約3m、深さ1m。濠の内側約2mには濠と平行して幅50cm、深さ30~60cmの溝があった。この溝の内側壁には小さな穴が不規則に並んでいることから、組み立てずみの柵や塀といった構造物を立てるために掘られた溝と考えられる。この2基の環濠居館は出土した布留(ふる)式土器から3世紀末~4世紀初頭の年代が考えられ、2基の居館のうち1基は日常の生活の場、残る1基は政治的な祭祀儀礼の行われた場と推定される。その後、台地一帯での調査では、1基の環濠遺構と奈良時代の居館跡などが発掘された。日田盆地の中では北側にあり、周辺にはほぼ同じ高さの台地が続くが、一帯には弥生時代から古墳時代の大規模な集落跡や墳墓があり、その斜面や崖面には数多くの横穴墓が存在していることから、大和政権による支配が確立する前夜様相を暗示する遺跡といわれている。JR久大本線光岡(てるおか)駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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