寒紅(読み)かんべに

精選版 日本国語大辞典 「寒紅」の意味・読み・例文・類語

かん‐べに【寒紅】

〘名〙 寒中に作られた紅。色が特に鮮明で美しい。なかでも寒中の丑(うし)の日に買う紅は丑紅(うしべに)といわれ、小児疱瘡などに薬効があるという。寒の紅。《季・冬》
浮世草子西鶴織留(1694)五「一度大願にやうきひの匂ひ粉をぬりくり、寒紅(カンベニ)此時の用に立」

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デジタル大辞泉 「寒紅」の意味・読み・例文・類語

かん‐べに【寒紅】

寒中に作った紅。色が鮮明で美しいとされる。特に、寒中のうしの日に買うものは小児の疱瘡ほうそうなどに効くとされた。寒の紅。丑紅うしべに 冬》土産には京の―伊勢はし虚子

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世界大百科事典(旧版)内の寒紅の言及

【口紅】より

…しかし,ベニバナは全国的に栽培されていたが,収量が少なく〈紅1匁,金一匁〉といわれたほど高価だった。特に良質の紅は,冬のいちばん寒い寒(かん)のうちの深夜,それも丑の刻につくったものが色も変わらず品質も優れていたので,寒紅(かんべに)とか丑紅(うしべに)とよばれて珍重されていた。紅は皿や猪口(ちよこ)や小筥(こばこ),板などに塗りかさねて市販された。…

※「寒紅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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