宇陀(市)(読み)うだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇陀(市)」の意味・わかりやすい解説

宇陀(市)
うだ

奈良県北東部にある市。2006年(平成18)宇陀郡大宇陀(おおうだ)、榛原(はいばら)、菟田野(うたの)の3町および室生村(むろうむら)が合併して市制施行。北部は大和(やまと)高原、南部は宇陀山地の西麓(せいろく)、西端は竜門(りゅうもん)山地の南東斜面となっている。市域の中央を宇陀川が北東に向かって流れ、支流の芳野(ほうの)川、内牧川を合する。宇陀川に沿って国道165号、近畿日本鉄道大阪線が通じ、榛原地区で国道369号、370号と交差し、南西端部の大宇陀地区を国道166号が走る。

 大宇陀地区の中心である松山は城下町で、町並みに往時おもかげを残し、松山西口関門(黒門)は国の史跡に指定されている。松山は商家町として重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。また、松山の西方には『万葉集』に詠まれた天皇の狩場である安騎野(あきの)がある。榛原地区の中心集落は萩原(はぎわら)で、伊賀・伊勢(いせ)を結ぶ初瀬(はせ)街道の宿場町として発達した。菟田野地区の中心は古市場(ふるいちば)、室生地区の中心は大野である。農業は野菜の抑制栽培、宇陀牛で知られる肉用牛の肥育などが行われ、また林業のほか、吉野葛(くず)や毛皮革などの地場産業も盛んである。榛原地区では近年住宅地化が著しい。女人高野(こうや)として知られる室生寺をはじめ、大野寺、宗祐(そうゆう)寺、戒長(かいちょう)寺、悟慎(ごしん)寺などの古刹(こさつ)や、国指定史跡の森野旧薬園、文祢麻呂(ふみねまろ)墓、大野磨崖仏(まがいぶつ)など、文化財が多い。宇太水分(うたみくまり)神社の本殿3棟が国宝に、室生山暖地性シダ群落と向淵(むこうじ)スズラン群落が国の天然記念物に指定されている。室生ダム周辺や額井(ぬかい)岳一帯は室生赤目青山国定公園に含まれている。面積247.50平方キロメートル、人口2万8121(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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