いばら

精選版 日本国語大辞典 「いばら」の意味・読み・例文・類語

いばら

〘名〙 古い鯨網を使って作った船用の綱。網綱(あみづな)
和漢船用集(1766)一一「網綱(あみつな)。〈略〉是をいはらと云」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「いばら」の意味・わかりやすい解説

いばら
いばら / 茨

刺(とげ)の多い低木類の総称で、カラタチ、バラ、サルトリイバラなどのように藪(やぶ)状に繁茂するものをいばらといい、英語のbriar, thornなどと同意。荊棘(けいきょく)の2字をあわせて、いばらという場合もある。『字彙(じい)』に「凡、有刺者皆同棘、荊棘同、茨同」とあるが、地名の茨木(いばらき)、茨城(いばらき)、原木(ばらき)などは同じ語源である。植物の刺や針そのものをさす場合もあり、『日葡(にっぽ)辞書』ではibaraを「とげ」と訳している。植物名のノバラノイバラを単にイバラと称したり、刺がなくても藪状の草叢(くさむら)をいばらということもある。また植物と関係なく、「荊棘の道」などの場合の精神的な苦痛や苦難、建築の唐破風(からはふ)造の場合の一角点、遊女や女郎の下級の端女郎などを、いばらと称する。

 語源は、『万葉集』にみられる「うばら」「むばら」「うまら」の「う」「む」が「い」に転化した説のほか、「うばら」は「群刺(むれはり)」の略転説、「い」は接頭語で「はら」は「刺(はり)」の転化説、「い」は「痛(いた)」の下略で「はら」は「針」の転化説、「い」は「毬(いが)」で「はら」は「針」とする説、また「苛刺(いらはり)」の約転説や、いらいらしたものでばらばらと掻(か)くものゆえいばらとする説などがある。

鈴木省三

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