日本大百科全書(ニッポニカ) 「女川(町)」の意味・わかりやすい解説
女川(町)
おながわ
宮城県東部、牡鹿郡(おしかぐん)にある町。牡鹿半島の基部と出島(いずしま)、江島などの属島からなる。1926年(大正15)町制施行。町名は、前九年・後三年の役で安倍貞任(あべのさだとう)が一族の婦女子を避難させた安野平(あのだいら)から流れる川を女川とよんだことに由来する。女川湾は天然の良港であり、1939年(昭和14)石巻(いしのまき)線の開通で石巻と結ばれ港湾都市として大きく発展した。県内では塩釜(しおがま)、気仙沼(けせんぬま)、石巻と並ぶ四大漁港の一つであり、カキ、ギンザケなどの養殖も盛んで、四季を通じてさまざまな魚を扱う地方卸売市場(魚市場)がある。リアスブルーライン(国道398号)、有料道路牡鹿コバルトラインの開通(1996年無料化)で三陸リアス観光の基地ともなっている。小屋取(こやどり)地区には東北電力女川原子力発電所が建設された。面積65.35平方キロメートル、人口6430(2020)。
[境田清隆]
〔東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では大津波(気象庁発表では14.8メートル)に襲われて住宅の約7割が流失、死者615人・行方不明258人、住家全壊2924棟・半壊349棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。2015年には石巻線が新しい女川駅(200メートル内陸側)まで復旧開通し、地方卸売市場(新魚市場)も竣工した。2018年3月時点で、町では土地区画整理事業など残された課題に取り組んでいる。
[編集部 2019年10月18日]
『『女川町誌』(1960・女川町)』▽『『女川町誌 続編』(1991・女川町)』