堪忍分(読み)カンニンブン

デジタル大辞泉 「堪忍分」の意味・読み・例文・類語

かんにん‐ぶん【堪忍分】

武家で、客分の者や討ち死にした家来遺族などに給与する俸禄堪忍領

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精選版 日本国語大辞典 「堪忍分」の意味・読み・例文・類語

かんにん‐ぶん【堪忍分】

〘名〙
中世近世主君から客分の者や臣下の遺族に給与した祿。堪忍領。食祿
言国卿記‐文亀元年(1510)四月二四日「今五百疋此方堪忍分申付畢」
② 近世、幕府が改易した大名に給与した知行(ちぎょう)

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改訂新版 世界大百科事典 「堪忍分」の意味・わかりやすい解説

堪忍分 (かんにんぶん)

近世,生計の資として給与された知行。知行には石高に応じて軍役が賦課されるのが原則であるが,堪忍分にはそれが免除されていた。堪忍とは食糧,生計の資,ひいては〈生計を保つ〉という意である。堪忍分には,将軍息女に与えられる化粧料,大名が客分の士や討死した家臣の遺族に与える捨扶持(すてぶち),合力(ごうりよく)などのほかに,改易された大名に幕府が与える場合があった。1619年(元和5)改易された福島正則に与えられた信濃川中島4万5000石,32年(寛永9)改易の加藤忠広に与えられた出羽丸岡1万石,40年改易の生駒高俊に与えられた出羽矢島1万石などが,その例である。
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