捨扶持(読み)すてぶち

精選版 日本国語大辞典 「捨扶持」の意味・読み・例文・類語

すて‐ぶち【捨扶持】

〘名〙
江戸時代由緒功績のある家の老幼婦女廃疾者などに恵与として与えたわずかな給米
※俳諧・白馬(1702)上「捨扶持の角(かど)を見せけり庭の桃〈為百〉」
※歌舞伎・蝶鶼山崎踊(1819)三幕「お家へ対して大忠臣、その功に免じ、捨扶持(ステブチ)にても遣はし」
② 役にも立たないものに与える扶持米生活費捨知行(すてちぎょう)
武蔵野夫人(1950)〈大岡昇平一一「英治さんも一旦平重役に退いて、暫らく捨扶持(ステブチ)で暮すんですって」

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デジタル大辞泉 「捨扶持」の意味・読み・例文・類語

すて‐ぶち【捨(て)扶持】

江戸時代、由緒ある家の老幼・婦女・身体障害者などに救助のために与えた扶持米
転じて、役に立たない者へ捨てるつもりで与える給料や生活費。「捨て扶持で雇っておく」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「捨扶持」の意味・わかりやすい解説

捨扶持
すてぶち

江戸時代,由緒ある家の老,幼,婦女,廃疾者を救助するために恵与された禄米をいう。通常の扶持米は1人1日玄米5合であったが,1人捨扶持は1日玄米4合4勺8才であった。転じて役に立たない者に支給される扶持米を呼ぶこともある。 (→扶持 )

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世界大百科事典(旧版)内の捨扶持の言及

【堪忍分】より

…堪忍とは食糧,生計の資,ひいては〈生計を保つ〉という意である。堪忍分には,将軍の息女に与えられる化粧料,大名が客分の士や討死した家臣の遺族に与える捨扶持(すてぶち),合力(ごうりよく)などのほかに,改易された大名に幕府が与える場合があった。1619年(元和5)改易された福島正則に与えられた信濃川中島4万5000石,32年(寛永9)改易の加藤忠広に与えられた出羽丸岡1万石,40年改易の生駒高俊に与えられた出羽矢島1万石などが,その例である。…

※「捨扶持」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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