執行役(読み)シッコウヤク(英語表記)officer

翻訳|officer

デジタル大辞泉 「執行役」の意味・読み・例文・類語

しっこう‐やく〔シツカウ‐〕【執行役】

指名委員会等設置会社に設置され、日常会社業務実行に当たる役職取締役会によって選任解任がなされ、この中から会社を代表する代表執行役が選出される。平成18年(2006)施行会社法規定される。
[補説]企業の役職名として「執行役員」があるが、執行役のような法律に規定される名称ではない。

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知恵蔵 「執行役」の解説

執行役

米国では株主総会からの受託機能を取締役会が担い、その取締役会から業務執行機能を担当する執行役員を選任し、その業務執行を監督するという形で受託機能・監督機能と業務執行機能が分離されている。日本でも2003年の改正商法によって、この米国の執行役員に相当する「執行役」が設けられた。この「執行役」とは商法上の大会社で委員会等設置会社を導入する場合に、取締役とは別に設けられる。なお、商法改正以前に一部企業で導入された「執行役員」は商法上の役員ではなく使用人である。執行役員制度は、業務執行の内部監視の強化、取締役による執行役員の業務執行の監視、責任の明確化と意思決定の迅速化を目指して、1997年のソニー手始めに導入された。しかし、取締役兼任ではない執行役員の場合、業務執行に伴う権限と責任が不明確であるだけでなく、株主代表訴訟の対象となり得るのかなど、法的に未整備な部分を多く残す。また、執行役員が、あくまでも従来代表取締役の執行業務に対する補助者的役割、取締役ポストの調整手段、また株主代表訴訟からの回避であるといった消極的な面も否定できない。これに対して、改正商法によって選択可能となった委員会等設置会社においては、取締役会と執行役との分離、執行役の業務執行権限が明確化された。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「執行役」の意味・わかりやすい解説

執行役【しっこうやく】

2002年の商法改正で創設された委員会設置会社に特有の機関。取締役会によって選任され,取締役会の委託にもとづいて業務執行を行う。委員会設置会社では,従来の代表取締役の代わりに代表執行役が代表権を持つ。→執行役員
→関連項目会計参与社外監査役社外取締役

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「執行役」の意味・わかりやすい解説

執行役
しっこうやく

委員会設置会社における業務執行機関。業務執行を行なう取締役取締役会の構成員としてみずからを監督するという従来の体制ではコーポレートガバナンスとして不十分なところから,2002年に「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の改正により導入され,2005年会社法に引き継がれた。取締役会によって選任され,取締役会から委任された事項に関する業務決定および会社の業務執行を取締役に代わって行なう。執行役が取締役を兼ねることは可能。任期は 1年。取締役会は執行役を監督し,解任することができる(会社法402~403)。この会社では代表取締役は置かれず,代表執行役 (執行役が 1人の場合はその執行役) が会社を代表する。なお,会社に任意に設置される執行役員とは異なる。

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株式公開用語辞典 「執行役」の解説

執行役

委員会設置会社において、会社の業務を執行する役員のことをいう。取締役は会社の業務は執らず、取締役会の構成員として基本方針の決定や監督に専念するのに対して、執行役が会社の業務を執る。執行役は、法律の規定に基づき、取締役会において選任され、責任者のことを最高執行役員という。

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