監督(読み)かんとく

精選版 日本国語大辞典 「監督」の意味・読み・例文・類語

かん‐とく【監督】

〘名〙
① (━する) 指図をしたり見張ったりして、取り締ること。また、その人。
西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二「乃ち之をして学校を監督せしめ教師を取扱はしむべし」 〔後漢書‐荀彧伝〕
② 特に、映画、舞台、運動競技などの指導や、工事現場などの取り締りをする役の人。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「法国の紬緞製造場の監督(〈注〉カシラ)となり」
法律で、ある人または機関が、他の人または機関の行為を、不法、不利に陥らせないように監視、検査をすること。
民法(明治二九年)(1896)八二条「法人の解散及び清算は裁判所の監督に属す」
④ (キリスト教会の監督者・指導者の意) 聖書の「エピスコポス」の訳語。明治期から第二次大戦のころまで用いられた。現在は司教主教などを用いる。
※引照新約全書(1880)腓立比書「キリストイエスに在(ある)すべての聖徒および監督(カントク)執事に書(ふみ)を達(おく)る」

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デジタル大辞泉 「監督」の意味・読み・例文・類語

かん‐とく【監督】

[名](スル)
取り締まったり、指図をしたりすること。また、その人や機関。「工事現場を監督する」「試験監督
映画・舞台・スポーツ競技などで、グループやチームをまとめ、指揮・指導する役の人。「撮影監督
日本の聖公会メソジスト教会における第二次大戦前の職制名。主教司教にあたる。
法律で、人または機関の行為が、その守るべき義務に違反していないか、その目的達成のために適当か否かを監視し、必要なときには指示命令などを出すこと。
[補説]書名別項。→監督
[類語](1管理支配監理統轄総轄管轄管掌掌理主管所管取り締まりマネージメント分轄直轄所轄つかさどる指揮采配差配仕切る取り仕切る舵を取る音頭を取る/(2ディレクター演出家プロデューサー映画監督舞台監督助監督

かんとく【監督】[書名]

海老沢泰久のスポーツ小説。昭和54年(1979)刊。広岡達朗モデルに、弱小球団を立て直す闘将の姿を描く。

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改訂新版 世界大百科事典 「監督」の意味・わかりやすい解説

監督 (かんとく)
episkopos[ギリシア]

キリスト教において,使徒の権能を受け継ぎ,一定地域の教会の統轄に当たる聖職者。その起源は不明で,初代教会では監督と長老の区別がはっきりしないが,2世紀中葉ごろまでに監督は聖職の最高位として確立し,のちに司教(カトリック教会)または主教(東方正教会など)の名称で呼ばれ,さらにそのなかで階次ができた。宗教改革後,プロテスタント教会も監督の聖職を継承したが,その解釈は教派によって異なる。
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普及版 字通 「監督」の読み・字形・画数・意味

【監督】かんとく

取り締り。

字通「監」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の監督の言及

【キリスト教】より

… キリスト教は都市型の宗教で,都市を中心に教会を築いていった。2世紀前半には教会の組織もだいたい固まり,使徒の権能を継承するエピスコポスepiskopos(〈監督〉の意から〈司教〉または〈主教〉と訳す)が教会の代表となり,司祭が信者の司牧と典礼の執行に当たり,司祭の補助者として助祭がいた。以上は聖職であるが,そのほかに教会の管理や運営にあたる人々もいた。…

【司教】より

…新約聖書のギリシア語エピスコポスepiskopos(監督)という言葉のもつ役割が制度化されたキリスト教会の役職。〈司教〉との訳語は,特にローマ・カトリック教会で用いられ,日本聖公会,日本ハリストス正教会では〈主教〉の語があてられる。…

【主教】より

…キリスト教の聖職のうち最高の職制。カトリック教会では〈司教〉,プロテスタント教会の一部では〈監督〉と呼ぶ。主教職の起源については不明の点が多いが,1世紀の教会ではエピスコポスepiskopos(〈監督〉の意,のち主教となる)とプレスビュテロスpresbyteros(〈長老〉の意,のち司祭となる)の区別が明確ではなかった。…

【聖職者】より

…聖職者の起源は必ずしも明らかでなく,またユダヤ教の祭司の権威と職能がどこまでキリスト教に受け継がれたかについても議論がある。すでに新約聖書のなかに監督(エピスコポス),長老(プレスビュテロス),執事(ディアコノス)の名称が見えているが,2世紀はじめのイグナティオスの書簡によれば,この3者がはっきり区別され,主教司祭助祭の3聖職の原型が成立していたと考えられる。このうち主教は教区の統轄者,司祭はミサ(聖餐式)を中心とする祭儀の執行者,助祭は主教および司祭の補助者である。…

※「監督」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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