国際法務総合センター(読み)こくさいほうむそうごうせんたー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際法務総合センター」の意味・わかりやすい解説

国際法務総合センター
こくさいほうむそうごうせんたー

東京都昭島(あきしま)市にある法務省施設。法務省が、既存の矯正施設や研修施設を移転集約して設置した。2017年(平成29)に落成した後、センター内の各施設が順次運用を開始。施設整備は国が実施したが、施設周囲の巡回警備、清掃・環境整備、総務系業務、収容関連サービス(給食洗濯衣類寝具の提供等)、医療業務支援など、施設の維持管理・運営については民間の経営能力・技術的能力等を活用したPFI(Private Finance Initiative)の手法が用いられている。国際法務総合センター内に設置されている施設には、矯正施設として、東日本成人矯正医療センター、東日本少年矯正医療・教育センター、東京西法務少年支援センター(正式な名称は「東京西少年鑑別所」)、東京婦人補導院がある。また、研修施設として、矯正研修所、公安調査庁研修所、国連アジア極東犯罪防止研修所がある。

 東日本成人矯正医療センターは、東京都八王子市で八王子医療刑務所として運営されていた刑事施設が移転して設置されたものである。病院としての機能を有する医療専門の刑事施設としてある。全国の刑事施設から専門的な医療を必要とする身体疾患・障害および精神疾患・障害の者を受け入れて、円滑な社会復帰に資するように医療スタッフのもとで必要な治療を行っている。また、准看護師養成所も備えており、矯正施設の職員のなかから選ばれた者を准看護師に養成し、全国の矯正施設に送り出している。

 東日本少年矯正医療・教育センターは、東京都府中市で関東医療少年院として、また神奈川県相模原(さがみはら)市で神奈川医療少年院として運営されていた両少年院が移転統合して設置されたものである。病院としての機能は、東日本成人矯正医療センターと一体化した運営がなされている。医療専門の少年院として身体疾患・障害および精神疾患・障害の者を受け入れるとともに、処遇上の配慮を要する知的障害情緒障害発達障害またはその疑いのある者およびこれに準じた者も対象としている。在院者の個々の病状・障害の特性に応じた形で矯正教育を行っている。

 東京西法務少年支援センターは、東京都八王子市で八王子少年鑑別所として運営されていた少年鑑別所が移転して設置されたものである。また八王子少年鑑別所に併設されていた東京婦人補導院もあわせて移転し、東京西法務少年支援センターと同じ建物に置かれている。

 矯正職員の研修施設である矯正研修所は東京都府中市に、公安調査庁職員の研修施設である公安調査庁研修所は東京都千代田区に、また国際連合と日本国政府との間の協定に基づいて設置された研修・調査・研究のための機関である国連アジア極東犯罪防止研修所は東京都府中市にそれぞれ設置されていたが、これらの施設も国際法務総合センターに移転集約されることとなった。国連アジア極東犯罪防止研修所の建物内には、大阪市にあった法務総合研究所国際協力部も移転している。

[小西暁和 2020年3月18日]

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