国家石油備蓄基地(読み)こっかせきゆびちくきち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国家石油備蓄基地」の意味・わかりやすい解説

国家石油備蓄基地
こっかせきゆびちくきち

石油の供給途絶のような事態に備えるため、国が保有する石油(原油備蓄を貯蔵するための施設日本では第一次オイル・ショック後の1975年(昭和50)に石油備蓄法(正式名称「石油の備蓄の確保等に関する法律」)が制定され、90日分の民間石油備蓄が義務づけられたが、それを超える備蓄については、国自らが石油公団を通して保有することになった。国家備蓄がスタートした1976年時点では、まずタンカーを用いて備蓄したが、1983年からは備蓄基地における保管が始まった。2021年(令和3)現在、国家備蓄基地として、むつ小川原(おがわら)、苫小牧(とまこまい)東部、白島、福井、上五島(かみごとう)、秋田、志布志(しぶし)、串木野菊間久慈の10基地が稼働している。日本では、5000万キロリットルの国家石油備蓄保有を目標としてきたが、1998年(平成10)2月に同目標を達成した。2021年9月末時点の国家備蓄量は4545万キロリットル、消費量対比で145日分となっている。また、民間備蓄1142万キロリットル(90日分)、産油国共同備蓄201万キロリットル(6日分)とあわせると同年度の備蓄保有量(備蓄日数)は合計7719万キロリットル(242日分)になっている。なお、産油国共同備蓄とは、サウジアラビアなどの産油国と協力し、日本の施設に原油を備蓄し、通常時は商業用の在庫として、緊急時には備蓄として活用するものである。

小山 堅 2022年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例