串木野(読み)くしきの

精選版 日本国語大辞典 「串木野」の意味・読み・例文・類語

くしきの【串木野】

鹿児島県西部にある地名薩摩半島の北西部、東シナ海に面する。遠洋マグロ漁業基地として知られる。串木野鉱山があり、金・銀を産する。昭和二五年(一九五〇市制。櫛木野。

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デジタル大辞泉 「串木野」の意味・読み・例文・類語

くしきの【串木野】

鹿児島県西部にあった市。平成17年(2005)10月市来いちき町と合併し、いちき串木野市となる。→いちき串木野

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日本歴史地名大系 「串木野」の解説

串木野
くしきの

中世から史料にみえ、当時は薩摩郡時吉ときよし名のうち。現串木野市羽島はしま荒川あらかわを除いた地域にほぼあたる。櫛木野とも記された。薩摩国建久図田帳によれば、時吉名は六九町で島津庄寄郡、名主は在庁大前道友、地頭島津忠久となっている。寿永二年(一一八三)地頭掾大前宿禰がかんむり岳東谷山主職を補任しているので、この時までに串木野は大前氏の支配下となっていた(「地頭大前某下文」冠岳頂峰院文書)。承久二年(一二二〇)八月日の平忠道寄進状(同文書)に串木野村領主平忠道がみえる。忠道は平姓薩摩郡司の一族で、串木野氏を称し(「平氏系図」指宿文書)、鎌倉時代を通じて忠道の子孫が串木野村を領する。忠道の甥平忠茂も次男忠継に当地などを譲っている(寛元元年九月一三日「平忠茂譲状」旧記雑録)。正応元年(一二八八)忠道の子息忠行の後家尼如阿が新田宮所司神官らによる濫訴の停止を訴え、串木野村は十五社神事法会のための庸莚料所であると主張している(同年六月日「串木野忠行後家尼如阿申状」新田神社文書)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「串木野」の意味・わかりやすい解説

串木野
くしきの

鹿児島県薩摩半島(さつまはんとう)の北西部にあった旧市名(串木野市)。現在はいちき串木野市の北部を占める。旧串木野市は東シナ海に面する。各地に金を産し、350余年の歴史をもつ金山の町である。1950年(昭和25)市制施行。市名は冠嶽(かんむりだけ)神社の祭神櫛御気野命(くしみけぬのみこと)に由来するといわれる。2005年(平成17)日置(ひおき)郡市来町と合併、いちき串木野市となった。旧市域の北部は八重山(やえやま)山塊に連なる山地、南部はシラス台地で、中央部を五反田(ごたんだ)川が西流して東シナ海に注ぐ。海岸は、市街地以北は岩石海岸、以南は吹上浜(ふきあげはま)砂丘最北部の砂浜海岸である。JR鹿児島本線と国道3号が中央部を南北に通過するほか、串木野港からは甑島(こしきじま)列島への定期船が往復する。幕末までは薩摩における山岳仏教の一大中心地であった。串木野漁港は枕崎(まくらざき)、山川と並ぶ県三大漁港の一つで、日本で有数の遠洋マグロ漁業の基地として知られ、冷凍冷蔵庫の施設や製氷、造船、水産加工などの関連産業が活発である。とくに、かまぼこ、ちくわ、さつまあげなどの練り製品工場が多い。このほか、ハム、製薬などの工場もある。また、近世以来の歴史をもつ串木野鉱山があり、三井資本により経営されている。市街地の近くには海洋公園の長崎鼻公園や、照島(てるしま)公園があり、山地の冠岳は旧跡が多く、眺望などに優れている。

[田島康弘]

『『串木野郷土史纂考』(1957・串木野市)』『『串木野郷土史』(1962・串木野市)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「串木野」の意味・わかりやすい解説

串木野
くしきの

鹿児島県西部,いちき串木野市北部の旧市域。薩摩半島の北西部で東シナ海に臨む。 1950年市制。 2005年市来町と合体して,いちき串木野市となった。中心市街地の串木野は,江戸時代は薩摩藩の直轄地で,漁業と金山の町として発展。マグロ,カジキの遠洋漁業の重要な根拠地。 1950年代からの東シナ海漁場の不振などのため往年のにぎわいはないが,漁業は依然として基幹産業である。串木野鉱山は江戸時代初期に発見された日本有数の金山,銀山であるが,近年は不振。このほか,かまぼこを主体とする水産加工,ハムなどの畜産加工が盛ん。農村部では米のほかミカン,タバコ,サツマイモの栽培,畜産,養鶏などが行なわれる。羽島崎以南の砂丘海岸地帯は吹上浜県立自然公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「串木野」の意味・わかりやすい解説

串木野 (くしきの)

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