石油公団(読み)せきゆこうだん

改訂新版 世界大百科事典 「石油公団」の意味・わかりやすい解説

石油公団 (せきゆこうだん)

海外における総合的な自主原油開発と石油備蓄を推進するために1967年資本金の全額を政府出資により設立された特殊法人。設立当時は石油開発業務のみを行うことになっており,名称石油開発公団で設置法も〈石油開発公団法〉であったが,78年の法律改正(法律名も石油公団法に改称)により石油備蓄業務も行うようになり,名称も石油公団と改めた。

 おもな事業は,石油開発業務としては,海外における石油,天然ガスオイルシェールオイルサンド探鉱に際しての資金の出資および貸付け債務保証,機械の貸付け,技術指導,権利の取得などがある。また石油備蓄業務(備蓄)としては,国家備蓄をみずから行うための基地建設,原油購入,タンカーの手配が,石油備蓄助勢業務としては,民間備蓄を促進するため,複数の石油会社の出資からなる共同備蓄会社への出資,貸付けがある。

 2004年2月,金属鉱業事業団と統合され,独立行政法人〈石油天然ガス・金属鉱物資源機構〉に改組され,05年3月末に石油公団は解散した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石油公団」の意味・わかりやすい解説

石油公団
せきゆこうだん

石油開発公団法に基づき、1967年(昭和42)に石油開発公団として設立された。主たる業務は、海外・日本近海での油田開発に対する資金融通、探鉱機械の貸付と探鉱・採取の技術指導、海外における石油採鉱権の取得、石油備蓄および備蓄資金の貸付等である。1978年の公団法改正で公団自身が石油国家備蓄を担うことになったのを機に石油公団と改称。油田開発に成功した投融資対象会社には、インドネシア石油、アブダビ石油、ジャパン石油開発などがある。1981年に試掘の結果大量の原油を発見した日本・中国共同の渤海(ぼっかい)プロジェクトに対しても投融資を展開。石油開発技術の研究にも力を入れた。主管官庁は経済産業省資源エネルギー庁。2004年(平成16)3月末時点の資本金は1兆2230億円。

[橘川武郎]

2004年、特殊法人金属鉱業事業団と統合し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構となった。

[編集部]

『石油公団編・刊『石油公団二十年史』(1987)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石油公団」の意味・わかりやすい解説

石油公団
せきゆこうだん

1967年2月通商産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会が,石油の自主開発の必要性について答申したのをふまえ,同 1967年 10月に石油開発公団法 (昭和 42年法律 99号) に基づき設立された政府関係機関。その目的は石油等 (天然ガス,オイルサンド,オイルシェールを含む) の探鉱に必要な資金の供給その他開発に必要な業務を行なうことにより石油等の開発を促進し,安定的かつ低廉な供給の確保をはかること (石油開発公団法1条) とされている。そのために海外および日本周辺の海域における石油などの探鉱資金の出資,探鉱および採取に必要な資金の貸し付け,債務保証,機械貸し付け,技術指導,調査・情報収集などを行なっており,1972年度からは石油備蓄増強に必要な出資,貸し付けも行なっている。さらに 1978年に石油開発公団法 (石油公団法) が改正され,国家備蓄業務を担うことになり,あわせて名称を石油公団と改称した。 2004年,「石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律」 (2002年公布) ,「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法」 (2002年公布) に基づき,石油・天然ガスに関する資金供給,技術開発,備蓄等の中心業務が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に移管された。

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百科事典マイペディア 「石油公団」の意味・わかりやすい解説

石油公団【せきゆこうだん】

自主原油開発と石油備蓄を目的として,1967年石油開発公団法により政府出資により設立された特殊法人で,当初の正称は石油開発公団で,業務は石油開発だけだったが,1978年の法改正から石油備蓄業務も行うようになり,石油公団に改称。さらに1994年の法改正により,主な活動は石油開発業務として,海外での石油・天然ガス探鉱の出資・貸付,技術指導,権利取得など。石油備蓄業務として,備蓄基地建設,原油購入など。1998年より探鉱の失敗などで巨額の損失が懸念されるにいたり,2004年2月,金属鉱業事業団(非鉄金属鉱物資源の安定的な供給確保のため1963年設立)と統合され,独立行政法人〈石油天然ガス・金属鉱物資源機構〉に改組された。なお石油公団は2005年3月末に解散した。

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