ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唯心論」の意味・わかりやすい解説
唯心論
ゆいしんろん
spiritualism
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唯物論に対する形而上(けいじじょう)学的見地で、精神を存在の根源とみなす。物質、生命、精神を存在論的に考えるとき、次のように比較することができよう。三者の独立を認める立場。物質だけを真の存在者とし他をその現象とする唯物論。物質に生命原理を対立させ、精神は生命の発展上に考える生命主義。生命は物質の一現象とし(動物機械論)、物質と精神とをたてる二元論。精神で生命を説明しつつ物質を対立者とするアニミズム。最後に、精神を第一義的存在とし、物質と生命とは精神がいまだ眠り、あるいは無意識的に活動している段階と位置づける唯心論。ところで認識論上、知識の成立を実在論とは逆方向に観念から存在への道ととらえる観念論は、かならず精神の存在を前提するのに、物質等の独立的存在は認めるにしてもその証明が課され、その証明の困難さから容易に非物質主義に至るため、観念論と唯心論とはしばしば混同される。唯心論が倫理的、宗教的実践の文脈でいわれるときは、自発性をもつ精神の他への還元不能性が問題で、このとき、物質、生命は自然、肉体等として精神に対し、価値の対極をなすものと考えられる。
[松永澄夫]
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…この種の現象は古来各地で知られている。とくにヨーロッパ諸国では,いわゆる心霊主義spiritualismの伝統があり,スウェーデンボリの著作などを通じてなじみが深かったが,19世紀中葉までは系統的研究の対象とはならなかった。1847年デービスAndrew Jackson Davisというアメリカの無学な一青年が催眠のトランス状態で神秘的大著を口述するという事件があり,翌48年にはニューヨーク州の寒村で〈ハイズビル事件〉が起こる。…
…実在論,唯物論,現実主義に対立する。明治10年代,《哲学字彙》では,ideaの訳語に仏教用語の観念を当て,idealismは唯心論と訳したが,idealismを観念論と訳すのは明治10年代の後半,とりわけ30年代からである。この観念という訳語は(1)客観的実在としての形相すなわちイデア,(2)主観的表象としての想念,概念,考えすなわちアイディアないし観念,(3)理性の把握しうる概念すなわちイデーないし理念,(4)現実に対するアイディアルすなわち理想などを包括しており,これに応じて観念論も客観的観念論,主観的観念論,理想主義に大別しうる。…
…生涯,知識人としての最高の名誉に恵まれながら,つねに寡欲で献身的な聖人の面影を失わず,第2次大戦下のパリ,ナチスの提供する特権を拒みながら,清貧のうちに没した。 その哲学は師であるラベソン・モリアン,ラシュリエらと同じく,フランス伝来の唯心論的実在論に属し,晩年カトリック神秘主義をも取り入れたが,同時代最新の科学的成果を渉猟したその思索は,実証主義的・経験主義的形而上学とも呼ばれる。真の実在とは何か。…
※「唯心論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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イタリア系フランス人の天文学者。カシニともいう。ニース近郊に生まれ、ジェノバで聖職修業中に、ガリレイの弟子カバリエリに師事して数学・天文学を修得し、1650年25歳でボローニャ大学教授に任ぜられた。惑...