吹立(読み)ふきたてる

精選版 日本国語大辞典 「吹立」の意味・読み・例文・類語

ふき‐た・てる【吹立】

〘他タ下一〙 ふきた・つ 〘他タ下二〙
① 吹いて高く上げる。吹いて空中に舞い上げる。吹き上がらせる。
万葉(8C後)五・八九二「竈(かまど)には 火気布伎多弖(フキタテ)ず 甑(こしき)には 蜘蛛巣懸きて」
② 笛などを吹き鳴らす。管楽器を盛んに吹き響かせる。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「ある限りの上手集ひて、世の一の琴・笛ふきたて、掻き鳴らしつつ」
③ 誇張して話す。盛んに大言壮語する。また、そそのかす。
評判記難波鉦(1680)二「かのうき男、ふきたてられて、いかにもつまらぬ事じゃなどと、同じやうにそしります」

ふき‐た・つ【吹立】

[1] 〘自タ四〙
① 風が吹きはじめる。吹きだす。
伊勢物語(10C前)九六「すこし秋風ふきたちなん時、かならずあはむといへりけり」
② 風などに吹かれて立つ。風に吹かれて舞い上がる。
※新後拾遺(1383‐84)雑秋・七三五「雲をなすわさ田のほなみ吹立て村雨ながらわたる秋風〈藤原実継〉」
③ 風などが激しく吹く。
④ 湯などが沸騰する。煮ているものがわきたつ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[2] 〘他タ下二〙 ⇒ふきたてる(吹立)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android