博労座跡(読み)ばくろうざあと

日本歴史地名大系 「博労座跡」の解説

博労座跡
ばくろうざあと

[現在地名]大山町大山

大山寺境内入口にあるかつて牛馬市が開かれた場所で、現在はバスの停留所および一般駐車場となっている。市の起源やその時期については明確ではない、伝説によれば、大智明権現(地蔵菩薩)は古くから農業神として崇敬されており、また承安年間(一一七一―七五)に大山の基好が地蔵菩薩を牛馬守護仏と唱えて諸国に守札を施与して以後祭礼の節に牛馬に荷を負わせて参詣することが普及したという。かつ大山裾野での放牧により良質の牛馬が育てられることが、自然に春秋の参詣時に牛馬の売買習慣を成立させたともいわれる。

近世初期には大山に至る水無みずなし(現岸本町)桝水ますみず(現溝口町)なかはらうえはら赤松あかまつ佐摩さま各所に牛馬繋牧所が設けられ、取引が行われていた。元禄年間(一六八八―一七〇四)には売買数も増加し草原での取引では万事不都合であるため、牛馬市制度の導入が要望されるようになり、享保一一年(一七二六)日野郡大河原おおかわら(現江府町)の吉川右平太(大山山奉行)の案を入れて、大山本坊西楽さいらく院の管理のもと境内の一隅で四月・八月の祭礼の時に限り牛馬市を開き、入場牛馬一頭につき一分を徴収することと定められた(吉川家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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