前立腺肥大・前立腺炎(読み)ぜんりつせんひだいぜんりつせんえん

食の医学館 「前立腺肥大・前立腺炎」の解説

ぜんりつせんひだいぜんりつせんえん【前立腺肥大・前立腺炎】

《どんな病気か?》


〈加齢が原因の前立腺肥大。合併症には注意が必要。〉
 前立腺(ぜんりつせん)精液(せいえき)をつくる働きをしている臓器で、膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあって、中を尿道が通っています。ヨーロッパの医学書で「(膀胱の)前に存在する」という意味の言葉が使われ、それが翻訳されて前立腺と呼ばれるようになりました。
 前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)は、前立腺の組織がこぶのように大きくなるもので、ほとんどの中高年男性にみられます。
 原因は、加齢によって、前立腺に大量に含まれる男性ホルモンと、その働きを抑制する生体調節ホルモンであるプロスタグランジンのバランスがくずれることです。肥大だけなら病気とはいえませんが、こぶが尿道を圧迫して尿がでなくなったり、その結果、腎臓病(じんぞうびょう)を合併したときなどには早急な治療が必要です。
 一方、前立腺炎(ぜんりつせんえん)は、尿道から侵入した細菌が前立腺に感染して炎症を起こすもので、尿道などの痛みや排尿痛(はいにょうつう)、残尿感(ざんにょうかん)発熱などの症状が現れます。若くてもかかることがありますが、前立腺肥大の人に合併して起こることが多いものです。
 いきまないと尿がでない、2時間以内に2度トイレにいく、などに気づいたら、一度泌尿器科を受診しましょう。

《関連する食品》


〈前立腺肥大には、男性ホルモンの代謝に欠かせない亜鉛を〉
○栄養成分としての働きから
 亜鉛(あえん)は、体の中で前立腺にもっとも多く存在しており、男性ホルモンの代謝(たいしゃ)に必須(ひっす)ミネラルです。前立腺肥大が起こった状態では、前立腺細胞への亜鉛の結びつきが減少しているので、亜鉛を多く含むカキ、牛もも肉、レバーウナギなどの食品を十分とるようにしましょう。
 尿がでにくいときは、水をふだんより多く飲んだり、水分の多いトウガンスイカなどの野菜やくだものをとると効果的です。とくにスイカやトウガンには利尿(りにょう)作用のあるカリウムも豊富に含まれており最適です。
 カリウムを多く含む食品としてはほかにトマト、柿、アボカドなどがあります。
〈前立腺炎には、炎症を抑えるIPAが有効〉
 前立腺炎の場合は、亜鉛やカリウムに加えて、炎症を抑える働きのある脂肪酸のIPA(イコサペンタエン酸)も有効です。
 IPAはハマチ、キンキ、イワシ、サバなどの青背の魚に多く含まれています。

出典 小学館食の医学館について 情報

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