肥大
ひだい
hypertrophy
組織や臓器の容積が増加することをいう。この場合,組織を構成する個々の細胞が容積を増すものと,細胞の数が増加するものとがある。前者は単純肥大と呼ばれ,たとえば心筋の肥大はこれにあたる。後者は数的肥大または過形成という。しかし実際には,この両方が同時に起ることが多い。肥大を原因からみると,まず,臓器の機能を高める必要があるために肥大を起す作業肥大または機能性肥大がある。たとえば高血圧症の心臓,労働者の筋肉などがこれに属する。また,腎臓の一方を摘出したとき,他方の腎臓が肥大するが,これは腎機能の不足を補うためなので,代償性肥大という。
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デジタル大辞泉
「肥大」の意味・読み・例文・類語
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ひ‐だい【肥大】
〘名〙 (形動) ふとって大きくなること。また、肥えて大きいことやそのさま。
※本朝文粋(1060頃)一・無尾牛歌〈源順〉「肥大曾非二菓下流一、雖レ無二一尾一有二五徳一」
※
破戒(1906)〈島崎藤村〉七「一人の肥大な老紳士」 〔礼記‐礼器〕
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肥大
細胞の容積が大きくなり臓器,組織が大きくなること.普通細胞の増殖で大きくなることを含めない.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
ひだい【肥大 hypertrophy】
一般には,生体の細胞,組織,器官の体積が増加すること。医学病理学では,ある組織や器官に,それら予備力をこえる仕事の要請があるとき,自己の機能を増すために,臓器の体積を増す必要が生じるが,この際,個々の細胞の体積を増大させて臓器の体積を増すことを肥大という。肥大は細胞分裂能を失った細胞からなる臓器に顕著にみられる現象で,細胞のタンパク質量などを増加させるためリボ核酸の活動が活発となる。仕事の要請には,力学的なもの,代謝亢進によるものなどがあるが,いくら仕事の要請があっても,一定の限界以上には臓器は肥大しない。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
普及版 字通
「肥大」の読み・字形・画数・意味
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