前立腺肉腫(読み)ぜんりつせんにくしゅ(英語表記)Prostatic sarcoma

六訂版 家庭医学大全科 「前立腺肉腫」の解説

前立腺肉腫
ぜんりつせんにくしゅ
Prostatic sarcoma
(男性生殖器の病気)

どんな病気か

 前立腺肉腫は、前立腺がんが前立腺の腺組織から発生するのに対し、前立腺の支持組織である筋肉などの間質(かんしつ)細胞から発生します。そのために、前立腺がんでは上昇するPSA前立腺特異抗原(ぜんりつせんとくいこうげん))は上昇しません。現在のところ特有の腫瘍マーカーは見つかっていません。

症状の現れ方

 症状は、病気が進んで尿道を圧迫することから、尿が出にくいということですが、前立腺が急速に大きくなることから、尿が出なくなって見つかることもあります。直腸を圧迫することから便が出にくいという人もいます。

 発生の頻度は前立腺がんの0.1%と少ないのですが、多くの患者さんが40歳以下と若い人に多いという特徴があります。若い人で尿が出にくいという症状がある場合は注意します。とくに横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)は小児によく発生します。

検査と診断

 まず直腸診で、前立腺部の巨大な弾性のある腫瘍として触れます。次に、CTMRI検査で骨盤腔内の巨大な腫瘍として診断されます。肝臓、肺などに転移しやすいので、CT検査を行います。針生検で組織診断を行います。

治療の方法

 治療法としては、手術が可能であれば、膀胱、前立腺、直腸を含めた骨盤内臓器(こつばんないぞうき)全摘出術を行い、尿路変更人工肛門造設、抗がん薬、放射線療法を併用します。小児以外の患者さんにおける予後は非常に悪いのが特徴です。

三浦 猛

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報