出抜(読み)だしぬけ

精選版 日本国語大辞典 「出抜」の意味・読み・例文・類語

だし‐ぬけ【出抜】

〘名〙
① だしぬくこと。無断で先に行なうこと。だしぬき。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)初「心がかりは酒屋と米やのはらひをせず、だしぬけにしたればさぞやうらみん」
② (形動) 不意に事を行なうこと。突然であること。また、そのさま。不意。唐突。だしぬき。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「アア、痛痛。うぬら出(ダ)しぬけに」

だし‐ぬき【出抜】

〘名〙
※玉塵抄(1563)三七「敵のよわうなったなりをないたぞ。だしぬき、はかりことぞ」
② (形動) =だしぬけ(出抜)
※俳諧・富士石(1679)四「大鉋(なた)や出しぬきにあふ雪の松〈調楽〉」

で‐ぬ・ける【出抜】

〘自カ下一〙 でぬ・く 〘自カ下二〙
① 通り過ぎる。通り越す。出てしまう。〔文明本節用集(室町中)〕
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「東京湾を出抜けると、黒潮に乗って」
② 他のものより特にすぐれている。群を抜く。〔詞葉新雅(1792)〕

だし‐ぬ・く【出抜】

〘他カ五(四)〙 他人すきをうかがったり、だましたりして、自分だけが先に利益をおさめる。約束を破って無断で先に事を行なう。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「扨(さて)は口惜事ごさんなれ。義朝はだしぬきけるよな」

いだし‐ぬ・く【出抜】

〘他カ四〙 他人のすきをみて先を越してする。だしぬく。
十訓抄(1252)七「始めはゆゆしくはやりたちたりけれども、終にいだしぬかれにけり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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