入船亭扇橋(9世)(読み)いりふねていせんきょう[きゅうせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入船亭扇橋(9世)」の意味・わかりやすい解説

入船亭扇橋(9世)
いりふねていせんきょう[きゅうせい]

[生]1931.5.29. 東京,青梅
落語家。本名橋本光永。埼玉県立飯能高校中退。2世広沢虎造に憧れて浪曲師(→浪花節)を志すが断念。浪曲作家,水野春三の勧めで落語家となる。1957年 3世桂三木助に入門,前座名は桂木久八。1961年三木助が亡くなり,三木助とは兄弟分だった 5世柳家小さん門下に移る。同 1961年二つ目昇進,柳家さん八と改名。1970年真打ちに昇進し,9世入船亭扇橋を襲名。三木助譲りの『ねずみ』『人形買い』,小さん譲りの『ろくろ首』のほか,『藁人形』『鰍沢』などを得意とする。寄席では『二人旅』『道具屋』で子供の歌を入れたり,飄々とした高座が味わい深い。同じ小さん門下に 10世柳家小三治がおり,小三治,桂文朝との勉強会『三人ばなし』は長く開催された。趣味は俳句で,中学時代から水原秋桜子師事,「光石」の俳号をもつ。東京やなぎ句会では宗匠を務めている。著書(長井好弘による聞き書き)に『噺家渡世 扇橋百景』(2007)がある。(→落語

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