〘名〙 (動詞「はたらく(働)」の連用形の名詞化)
① 動くこと。行動すること。ふるまうこと。
※古今著聞集(1254)二〇「大なるくちなはありけり。〈略〉おほきなる釘にうちつけられて、とし比はたらきもせで、かくてありける也」
② 仕事をすること。労働すること。
※浮世草子・西鶴織留(1694)三「大かたのはたらきにては中々身過に成難し」
③ 活躍すること。努力すること。尽力すること。また、それによって得た賞や名声。てがら。
※政基公旅引付‐文亀三年(1503)七月二六日「谷中として日禰野番頭衆へ相当之働をめされ候て」
④ 特に戦場での活躍。また、その戦い。
※御伽草子・三人法師(室町末)「いかなるおにかみ、なひし五百き(三百き)の中へわって入、心ばかりのはたらき」
⑤ 役目を果たすこと。効果をあらわすこと。機能。ききめ。
※俳諧・貝おほひ(1672)二七番「一句のはたらき見え侍らず」
⑥ 事を行なう能力。役目を果たす力。機転。才能。技量。才覚。
※浄瑠璃・生玉心中(1715か)上「千万砕く気の働(ハタラキ)、胸の吹子(ふいご)に怒の火熖」
⑦ 悪事を行なうこと。また、その人。すり・おいはぎの類。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)二「前髪立の野等には巾着切を教へ、大胆者には追剥の働(ハタラキ)をならはせ」
⑧ 雑役に使われる小者。下働き。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六「役夫(ハタラキ)の南京がきょろきょろ眼で見まはりにきたぜ」
⑨ 他に力を及ぼすこと。作用。
⑩ 能の用語。
(イ) 能楽論などで、能の舞台上の動き全体をいう。また、抽象的な表現である舞に対し、特定の意味を持つ動作をさすこともある。
※風姿花伝(1400‐02頃)六「音曲よりはたらきのしゃうずるは劫(こう)入りたる故也」
⑪ 歌舞伎囃子の一つ。⑩
(ロ) を転用したもの。舞働。
⑫ 文法で、用言や助動詞が語形変化すること。活用。
※詞八衢(1808)上「活はすべていとおほくさまざまなる中に四種の活〈略〉いとおほくしてこれにならぶはたらき他にはなし」