値遇(読み)チグウ

デジタル大辞泉 「値遇」の意味・読み・例文・類語

ち‐ぐう【値遇】

[名](スル)
値遇ちぐ」に同じ。
大唐の玄奘法師に―し奉り」〈中島敦・悟浄出世〉
知遇ちぐう」に同じ。
「―を得た君臣の間に」〈鴎外阿部一族

ち‐ぐ【値遇】

縁あってめぐりあうこと。特に、仏縁あるものにめぐりあうこと。ちぐう。
大慈大悲薩埵さったに―し奉らば」〈太平記・二〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「値遇」の意味・読み・例文・類語

ち‐ぐう【値遇】

〘名〙
① (━する) =ちぐ(値遇)
譬喩尽(1786)二「値遇(チグウ) 仏書有縁用語」
② (━する) 出会うこと。めぐりあうこと。遭遇
吾妻鏡‐文治元年(1185)一二月六日「土民或含梟悪之意、値遇謀叛之輩候」 〔爾雅注‐釈言〕
③ (━する) 親しくすること。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一〇「あれに値遇した者までもとらゆるぞ」
※光悦本謡曲・経政(1488頃)「ましてや多年の御ちぐう、恵みをふかくかけまくも」
※阿部一族(1913)〈森鴎外〉「値遇(チグウ)を得た君臣の間に黙契があって」

ち‐ぐ【値遇】

〘名〙 (「ぐ」は「遇」の正音、「ぐう」は慣用音)
仏語前世宿縁によって現世にであうこと。また、仏縁あるものにであうこと。ちぐう。
※観智院本三宝絵(984)下「在々所々常に三宝に値遇したてまつる」
※太平記(14C後)二〇「仏前仏後の導師、大慈大悲の薩埵に値遇(チグ)し奉らば」 〔法華経‐化城喩品〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「値遇」の読み・字形・画数・意味

【値遇】ちぐう

であう。唐・韓秋懐十一首、十一〕詩 鮮鮮たる霜中の (おそ)きに何を用(もつ)て好からん 揚揚としてを弄する蝶 爾(なんぢ)の生も(ま)た早からず 窮まりて兩(ふたつ)ながら値し 婉(ゑんれん)死して相ひ保つ

字通「値」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報