体・躰(読み)たい

精選版 日本国語大辞典 「体・躰」の意味・読み・例文・類語

たい【体・躰】

[1] 〘名〙
① からだ。み。むくろ。身体。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※風姿花伝(1400‐02頃)一「体も、腰高になれば、かかり失せて」
※談義本・根無草(1763‐69)前「食は躰(タイ)を養ふ物にして、過時は命をそこない」 〔孟子‐梁恵王〕
ありさま。すがた。様子てい
※御伽草子・六代御前物語(室町時代物語大成所収)(室町末)「あらたっとの御ひじりや、すがたはぼんぷのたいなれども、さながらほとけのおうさなる」
③ かた。かたち。形式。きまり。形態。
江談抄(1111頃)五「随音変訓之字、不其音之事、文章之一躰古人之所伝也」
※申楽談儀(1430)能書く様「音曲に、一句一句のたいをたがへんとて、それ斗知て、そうたいをしらずかかば」
④ 作用の根源。本体。事物の本質。本性
※九冊本宝物集(1179頃)七「一切の業障は妄想より生じて、その躰といふものなし」
⑤ (④から転じて) 連歌俳諧などで、その詠まれる題材のうち、その語の本体、存在を表わす語。引く・張るに対して弓、咲く・匂うに対して花など。
※長短抄(1390頃)「必句に体用の詞あり。体をすてて用に付事、下手のしわざ也」
⑥ ことばの表わすものについて、事物のはたらき、すなわち用に対する本体。また、事物のはたらきを表わして活用のあることに対する、本体を表わして活用のないこと。
※名語記(1275)四「これはむす也。蒸也。むしは惣名也。躰也。むすはその用也」
⑦ しまり。正体。たあい。意地。→体(たい)がない
生花上段の役枝(やくえだ)の称。
⑨ 数学で、四則計算の可能な集合。すなわち、加法乗法とが定義され、次の加法について群である、加法についての単位元以外の元の集合は乗法に関して群である、分配法則 a(b+c)=ab+ac, (a+b)c=ac+bc がなりたつという三条件を満たす集合をいう。たとえば、有理数全体、実数全体は体であるが、自然数全体、整数全体は体ではない。
[2] 〘接尾〙 神仏の像、または死体などを数えるのに用いる。
※栄花(1028‐92頃)玉のうてな「九体はこれ九品往生にあてて造らせ給へるなるべし」

てい【体・躰】

〘名〙
① 物の形。また、物事有様。様子。たい。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
謡曲・丹後物狂(1430頃)「あの海のていを見れば、恐ろしうてなかなか投げられぬ」
② (接尾語的に用いて) そのようなもの。そのような様子。風(ふう)風体ふぜい
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「みの・かさ・きもの躰(テイ)のものをもちて」
浄瑠璃・佐々木先陣(1686)三「をのらていに討るるならばてがら次第に討て見よ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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