事欠(読み)ことかく

精選版 日本国語大辞典 「事欠」の意味・読み・例文・類語

こと‐か・く【事欠】

[1] 〘自カ五(四)〙 (多く「…にことかく」の形で用いる)
物事が不足する。ないために不自由する。事を欠く。
玉葉‐仁安三年(1168)三月一一日「大臣行幸可供奉事也、近代不然、任意也、強不事闕事、又供奉無難事也」
※婉という女(1960)〈大原富枝〉「先生の子供のころは貧窮のどん底で〈略〉三度の食事にもこと欠くありさまで」
※ボロ家の春秋(1954)〈梅崎春生〉「遠っ走りするにもこと欠いて、奄美大島とは驚きましたな」
[2] 〘自カ下二〙 (一)①に同じ。
愚管抄(1220)三「一向国王世を一人して輔佐なくて事かけざるべし」

こと‐かけ【事欠】

〘名〙
① =ことかき(事欠)①〔文明本節用集(室町中)〕
※やしなひぐさ(1784‐89)二編「秋はさびしく哀に、冬はかなしきは、何がさせることぞ。しりてなし知らいでも事かけもなし」
浮世草子男色大鑑(1687)一「是等(これら)は美児人(びしゃうしん)のなき国の事欠(カケ)隠居の親仁(をやじ)の翫びのたぐひなるべし」

こと‐かき【事欠】

〘名〙
① 事欠くこと。ある物がなくて不自由すること。ことかけ。
九条家文書‐明応四年(1495)一二月二九日・成身院公遍書状「御公用御事欠之由仰候間」
仮名草子祇園物語(1644頃)上「かやうの師匠は今時はあるまじきにより事かきなり」
② 間に合わせ。ことかけ。
※浮世草子・男色大鑑(1687)一「素盞烏尊老のことかきに稲田姫に戯(たはぶ)れ」

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