予(漢字)

普及版 字通 「予(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)豫
16画

[字音]
[字訓] たのしむ・よろこぶ・あらかじめ・かねて

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は豫に作り、予(よ)声。〔説文〕九下に「象の大なるなり。賈侍中(逵)のに、物にあらず」とするが、両義ともその用例はない。〔書、顧命〕に「王、豫(たの)しまず」、〔孟子、梁恵王下〕に「我が王、豫(あそ)ばず」など、不予・悦予逸予の意に用いる。心部十下(よ)の字があり、「るるなり。(ゆる)やかなるなり。書に曰く、疾りて(たの)しまずと。は喜(たの)しむなり」とあって、〔書、金〕の文を引き、字をに作る。〔敦煌唐写隷古定尚書残巻〕にも、「逸予」の字をに作る。「猶予」は形況の連語で、舒緩の意。力部十三下に「(やう)は(えう)、やかなるなり」とあって、その声に舒緩の意があるのであろう。また予定・予占の意に用いるのは、象を予占のことに用いたかと思われるが、そのことを確かめがたい。〔易〕の十翼に〔象伝〕がある。

[訓義]
1. 大きな象。
2. のどやか、たのしむ、よろこぶ、やすんずる。
3. おこたる、ためらう、いとう。
4. あらかじめ、もとより、かねて。
5. 与と通じ、あずかる、かかわる。

[古辞書の訓]
名義抄〕豫 アヅカル・マジフ・マジハル・マジル・ハムベリ・ホシイママ・タノシビ・アラカジメ・ヨロコブ・サカユ・イトウ・ノブハヤシ・ヤハラカナリ・ココロヨシ

[語系]
豫jiaは(悦)・(説)jiuatと声義近く、また懌jyakも悦懌(えつえき)の意に用いる。豫・預・與(与)jiaは同声。参与の意があり、預定の意に用いる。象ziangも声近く、豫の原義は、大象の意であろう。

[熟語]
予戒・予期予禦予見予言・予後予参予借予習予政予設予怠予知・予定・予備予付・予聞・予防予盟・予料
[下接語]
安予・怡予・一予・佚予・逸予・悦予・暇予・閑予・予・戯予・不予・游予・猶予・遊予・和予


4画

[字音]
[字訓] あたえる・たまう・ゆるす・われ

[説文解字]

[字形] 象形
織物の横糸を通す杼(ひ)の形で、機杼(きじよ)の杼の初文。〔説文〕四下に「推し予(あた)ふるなり。相ひ予ふる形に象る」とするが、字形は両手相与える形とはみえず、下に長く垂れているのは糸。〔説文〕は下文に幻を録し、「相ひ詐惑(さわく)するなり。反予に從ふ」とするが、幻は機杼の往来する形で、その機巧の知るべからざるを幻という。〔爾雅、釈詁〕に「賜ふなり」とあるのは、與(与)の仮借義。また〔論語、述而〕に「天、を予(われ)に生ず」と一人称に用いるのは、余通用の義。予の本義は、その形声字の杼のうちに残されている。天子には「予一人」、幼少ならば「予小子」という。

[訓義]
1. ひ、機杼の杼。のちその義には杼を用いる。
2. 与と通じ、あたえる、たまう、ゆるす。
3. 余と通じ、われ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕予 古の余の字なり。アタフ・ワレ、、与の字なり。ヨシ・タマフ・イタル

[声系]
〔説文〕に予声として舒・杼・序・豫(予)・抒・など十一字を収める。舒・杼・抒・は機杼に関する字。杼は機の緯(よこいと)を持つもの、舒・などはこれを舒緩にする意。経(たていと)に径直、緯に緩の意がある。

[語系]
予・余・與jiaは同声。予・余は一人称に用い、予・與はまた賜与の意に用いる。予の原義は・舒sjia、抒djia、thiaの諸字と同じく舒緩・展抒の意、杼ziaが機杼の字である。序ziaも、緯を序列する意があろう。みな畳韻の語。*「かねて」「たのしむ」意の語彙は、予(豫)字条参照。

[熟語]
予告・予奪・予寧

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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