乳酸菌飲料(読み)ニュウサンキンインリョウ

デジタル大辞泉 「乳酸菌飲料」の意味・読み・例文・類語

にゅうさんきん‐いんりょう〔‐インレウ〕【乳酸菌飲料】

酸乳飲料」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乳酸菌飲料」の意味・わかりやすい解説

乳酸菌飲料
にゅうさんきんいんりょう

乳酸発酵をさせた脱脂乳または還元脱脂乳を原料とし、糖類香料果汁、希釈水などを加えた嗜好(しこう)栄養飲料で日本独特のものである。1919年(大正8)、三島海雲によって、乳酸発酵乳に砂糖、香料を加えたのち、乳酸菌加熱殺菌した飲料「カルピス」が開発され、以後同種の飲料を水で希釈して飲用に供することが普及した。第二次世界大戦後は、あらかじめ飲用濃度に水で希釈し、かつ加熱殺菌をせず乳酸菌が生きていて、とくに乳酸菌の腸内効果を唱える乳酸菌飲料が多く開発市販され、現在に至っている。厚生省令(1969)では、乳酸菌飲料を無脂乳固形分含量によって、「乳製品」の乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上)と、「乳を主要原料とする食品」の乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満)の2種類に分類している。いずれも乳酸菌または酵母の生存数が規格化されているが、乳製品乳酸菌飲料については75℃15分間の加熱殺菌により保存性を高めることが認められている。

 乳酸菌が生きているタイプの乳酸菌飲料の一般的製法は、脱脂乳または還元脱脂乳で発酵乳をつくり、飲用濃度に水で希釈する。これに糖類、香料、果汁などを添加し、均質機によって、いったん凝固した乳タンパクを微細に分散させたのち、容器充填(じゅうてん)する。その際タンパク粒子の沈殿防止のためペクチンなどの安定剤を使用することがある。いずれにしても、乳酸菌の生存を目的として、発酵終了後いっさいの熱処理を加えないことが特徴である。発酵乳をつくる際は、乳酸菌が飲用後腸内に達することを目的として、一般的に用いられているブルガリア桿菌(かんきん)、サーモフィラス球菌のほか、アシドフィルス桿菌、カゼイ桿菌、ビヒダス桿菌などが選択されている。

[新沼杏二・和仁皓明]

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飲み物がわかる辞典 「乳酸菌飲料」の解説

にゅうさんきんいんりょう【乳酸菌飲料】


乳などを乳酸菌または酵母で発酵させたものを加工し、または主要原料とした飲料で無脂乳固形分が8%未満のもの。「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で規定されている。◇8%以上のものは「発酵乳」となる。

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栄養・生化学辞典 「乳酸菌飲料」の解説

乳酸菌飲料

 発酵乳のうち,酸発酵乳の一種

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世界大百科事典(旧版)内の乳酸菌飲料の言及

【酸乳】より

…牛乳や脱脂乳を乳酸菌により発酵させてつくる酸味を有する液状または半流動状の製品。この種の製品は,日本の規格では無脂乳固形分と菌数の基準により発酵乳(ヨーグルトなど)と乳酸菌飲料に分類される。(1)ヨーグルト 酸乳では最古のものとして知られている。…

【乳酸飲料】より

…乳ないし乳製品を原料とする飲料の一種で,乳酸菌飲料,酸乳飲料とも呼ばれる。ふつう脱脂乳または脱脂粉乳を還元した乳に,乳酸菌や酵母を加えて乳酸発酵させ,これに砂糖や香料を加えてつくる。…

※「乳酸菌飲料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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