上日寺(読み)ジョウニチジ

デジタル大辞泉 「上日寺」の意味・読み・例文・類語

じょうにち‐じ〔ジヤウニチ‐〕【上日寺】

富山県氷見市にある高野山真言宗の寺。山号朝日山開創は天武10年(681)と伝える。上日寺観音とよばれる本尊千手観音は太田浜に漂着したもので、戦国時代から前田利長らの帰依を受け、祈雨修法信仰を集めた。

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日本歴史地名大系 「上日寺」の解説

上日寺
じようにちじ

[現在地名]氷見市朝日本町

朝日あさひ山を背にしてあり、朝日山と号し、高野山真言宗。本尊千手観音。貞享二年寺社由緒書上に白鳳一〇年(六八一)創建とし、正平元年(一三四六)仁然の中興ともいう。越中観音霊場四番札所(稿本越の下草)。室町時代末期作とみられる伽藍境内図が残る。紙料六枚をつないだ大幅で、図の中央上部に本堂を中心とする諸堂宇が描かれ、左上の十二町じゆうにちよう潟からみなと川が流れ出て海に注ぐ。浜辺には朱塗の大鳥居があり、この鳥居から当寺への参道が始まり、湊川には朱塗の大橋が架かり、橋のたもとに山門が建つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上日寺」の意味・わかりやすい解説

上日寺
じょうにちじ

富山県氷見(ひみ)市朝日本町にある高野山真言(こうやさんしんごん)宗の寺。山号は朝日山。本尊は閻浮檀金(えんぶだんごん)1寸8分(約5.5センチメートル)の千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)。創建は681年(天武天皇10)、開基は法道上人(しょうにん)と伝える。かつては七堂伽藍(しちどうがらん)が完備し、18坊を有した大寺であったが、数度の火災により、現在は江戸時代の本坊(銀杏精舎(いちょうしょうじゃ))、観音(かんのん)堂など数宇を残すのみである。毎年4月17、18日の観音縁日に行われる祭礼(ごんごん祭り)は、1664年(寛文4)の大干魃(かんばつ)のとき雨乞(あまご)いをして待望の慈雨を得たので、感謝のために始められた祭りといわれ、現在も盛大に行われ、参詣(さんけい)者は鐘を打ち鳴らして厄除(よ)け・諸願成就(じょうじゅ)を祈る。境内の大イチョウは樹齢1300年、周囲12メートルの大樹で、乳授けの霊木といわれ国の天然記念物。

[野村全宏]

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