上・下(読み)かみなだ・しもなだ

日本歴史地名大系 「上・下」の解説

・下
かみなだ・しもなだ

江戸時代からみえる海部郡の広域通称名。現由岐ゆき町・日和佐ひわさ町・牟岐むぎ町にわたる郡北東部の一帯を上灘と称し、現海南かいなん町・海部町・宍喰ししくい町にわたる郡南西部の一帯を下灘という。海岸部は室戸阿南むろとあなん海岸国定公園のうちで、日和佐町千羽せんば海岸をはじめ海部山地が太平洋に沈む雄大な断層海岸を呈しており、牟岐町から海南町にかけては八坂八浜やさかやはまが連なる。八坂八浜の南方もまた浅川あさかわ湾・大里おおざと砂丘那佐なさ湾・水床みとこ湾など風光明媚な景観に恵まれる。海部郡は古代・中世を通じて海産物の貢進や材木の回漕など海にかかわる活動が知られ、あるいは地震に伴う津波による被害など、灘と称するのは当郡らしいが、その呼称が確認できるのは近世からである。

海岸部を含む郡域は慶長年間(一五九六―一六一五)のものと推定される国絵図、寛永(一六二四―四四)前期のものと推定される国絵図や正保国絵図などがあり、入海浦口の規模や係留の便不便などを記すものもみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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