一分・一歩(読み)いちぶ

精選版 日本国語大辞典 「一分・一歩」の意味・読み・例文・類語

いち‐ぶ【一分・一歩】

〘名〙
① (重さの単位) ⇒ぶ(分)(三)②
② (長さの単位) ⇒ぶ(分)(三)①
③ 一を一〇で割ったものの一つ。一割。十分の一。
黄表紙・大悲千祿本(1785)「桝(ます)掛筋のあるは、壱分がた高うござる」
④ ごくわずかであること。いちぶん。あとに打消の語を伴い、副詞的にも用いる。
※医師高間房一氏(1941)〈田畑修一郎〉三「一歩(イチブ)非の打ちやうのない正文に」
浮世草子・好色一代男(1682)四「昼は十人の舞子集ける。一人金子一歩也」
滑稽本・魂胆夢輔譚(1844‐47)二・下「くゎいちうより白銀一分(ブ)とりいだし」
⑦ 一を一〇〇で割ったものの一つ。一割の十分の一。百分の一。一パーセント。「年一分の利子」「三割一分五厘の打率
⑧ (六銖を一分とするところから) 一を六で割ったものの一つ。六分の一。
申楽談儀(1430)附載「一、得分の事。三、長殿(をさどの)。二、端居(つまをり)。三座(さんざ)、一部(ブ)(はむ)
⑨ 江戸吉原で揚げ代が金一分の遊女
※雑俳・川傍柳(1780‐83)三「昼三(ちゅうさん)の右や左は壱分也」
近世遊里遣り手や、太鼓持ちに与える祝儀の金。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)四「此時はこなから、明日は一ぶになる事ぞかし」
※浮世草子・諸国物語(17C後)一「私一ぶにては、早速に御返答は申し難し」
競馬で二〇〇メートルのこと。マイルレースの八分の一。一ハロン。

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