祝儀(読み)しゅうぎ

精選版 日本国語大辞典 「祝儀」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐ぎ シウ‥【祝儀】

〘名〙 (「しゅう」は「祝」の漢音接頭語「ご」を付けて用いることも多い)
① 祝いの儀式。祝典賀儀。また、特に、婚礼。祝言。⇔不祝儀
※娵入記(1443‐73頃)「しうぎ三日の日、おゆめして、おごに下にめし候」
② お祝いの挨拶。祝いの気持。祝意。
※波形本狂言・松囃子(室町末‐近世初)「万歳太郎と申者が祝儀を舞にまいる」
③ 祝意を表わして贈る金銭や品物。引き出物。
※御伽草子・花世の姫(室町時代物語集所収)(室町末)下「これは時のしうきとて、小袖一かさね、出し給ふ」
④ 芸人、芸者、職人などに与える心づけ。
洒落本遊子方言(1770)霄の程「『御しうぎが御ざりましたぞへ』『ははははお有がたふ御座りんす』」

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デジタル大辞泉 「祝儀」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐ぎ〔シウ‐〕【祝儀】

祝いの儀式。特に、婚礼。
祝意を表すために贈る金銭や品物。
祝いのあいさつ。祝意を表すための言葉や歌など。「祝儀を述べる」
芸人・芸者・職人やその他サービスをしてくれた人に与える心づけ。はな。チップ。「祝儀をはずむ」
[類語](1祝典栄典祭典祭礼祭儀大祭大儀大礼大典典礼盛儀儀式式典/(4心付けチップおひねり

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改訂新版 世界大百科事典 「祝儀」の意味・わかりやすい解説

祝儀 (しゅうぎ)

本来は祝いの儀式のことあるが,現在ではその際に贈る祝意を表した金品,さらには芸人,芸者,職人あるいは使用人,給仕などに与える心付けを指し,熨斗(のし)をつけ水引を掛けた祝儀袋(熨斗袋)に包んで贈る。今日でも,地方の農村などには祝儀不祝儀と称し,祝儀をとくに婚礼およびその祝いの金品の意に用いているところもある(不祝儀は葬式,香奠)が,一般には御祝儀にあずかると称して正規の報酬とは別にその労をねぎらい謝意を表して贈る心付けのことを指す場合が多い。被物(かずけもの),纏頭(てんどう),花ともいう。被物,纏頭は祝儀として与えられた衣装を肩に掛けたり頭に載せたりする作法に由来し,花は物を贈るのに古くは花の枝を添えたことによる。祝儀は本来慶事のお裾分けといった意味をもつが,近世の町人社会ではさまざまな祝い事,喜び事にちなんで祝儀を出す習慣が広がり,また祝意というより下位の者の労などに対する謝意としての祝儀が発達した。中でも正月は年の始めの慶事を皆で分かち合おうと,髪結湯屋の職人におひねりを与えたり,商家では初買いの客に景品年始を付けたり,また奉公人出入りの職人に仕着しきせ)を出すなど派手にばらまかれた。今日の子どもらへの年玉一種の祝儀といえる。
贈物
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祝儀」の意味・わかりやすい解説

祝儀
しゅうぎ

祝いの儀式のこと、転じてその際引出物として贈られる金品をいう。凶事の儀式・贈り物をさす不祝儀(ぶしゅうぎ)と相対する。祝儀がもっとも多くみられるのは妊娠、出産から始まる通過儀礼に際してで、以後、初宮参り、食い初(ぞ)め、初誕生、初節供七五三(髪置(かみおき)、帯解(おびとき)など)、入学祝い(手習い始め、読始めなど)、卒業祝い、成人式(元服、鉄漿(かね)付けなど)、婚礼、還暦、米寿などと続いていく。そのほか、正月や節供、村祭りや刈上(かりあ)げなど年中行事、農耕儀礼に伴うもの、新築や屋根葺(ふ)きなど家の暮らしからおこるもの、また、大漁祝いや船おろしなど生業に基づくものなど、祝儀の機会はきわめて多い。

 祝儀・不祝儀に際して金品を贈り、祝意なり弔意なりを表すことは古来交際の基本として重視され、各家で祝儀帳、香典帳などを作成して備忘録とする習わしである。また祝儀の金品を花(はな)、心付けなどといい、祭りなど催し事にあたる者に贈る風があり、やがて芸人や職人の間にも盛行するようになった。

[竹田 旦]

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