精選版 日本国語大辞典 「正文」の意味・読み・例文・類語
しょう‐もん シャウ‥【正文】
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古文書学上の用語。案文(あんもん)に対する言葉で,しかるべき手続を経て作成され,相手方に送られて文書としての機能をはたしたものをいう。したがって正文は案文などに比べて,形式・内容ともに整っており,古文書の研究において最も重要な資料となるものである。簡単な私信は,差出人みずからが書いて相手方に届ける。しかし慎重な手続を必要とする公文書にあっては,まず草稿(これを土代(どだい)ともいう)を作り,それを推敲(すいこう)して清書をし,必要な手続をすませたうえで,差出人または発給の責任者が署名・花押・印章などを加えて相手方に送る。これが正文である。この際差出人の方は,草稿のほかに控えをとっておくこともある。また受け取った方は,種々の目的の証拠書類としてその写しを作成する。これが案文であるが,案文には広狭2義があり,このような狭義の案文のほか,広く草稿・控えも含めて案文ということがある。狭義の案文のうちには,正文と同一であることを証明するため,しかるべき人が正文と対校し,そのしるしとして合点(がつてん)を加え,裏に花押をすえることがある。これを校正裏封(きようせいうらふう)案文といい,正文と同じ効力が認められた。
執筆者:上島 有
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…案ともいう。文書を作成の順序に従って分けると,(1)草案,(2)正文(しようもん),(3)案文,(4)写しとなる。文書を作成するには,まず草案(草(そう),土代(どだい)ともいう)を作り,それを清書して相手に渡す。…
…この際差出人は,草稿のほかに控えをとっておくこともある。相手方に届けられたものを正文(しようもん)という。正文は草稿・控え,さらには次に述べる案文(あんもん)に比べて,形式・内容ともに完備しており,古文書の研究にもっとも重要な資料となる。…
※「正文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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