ピクチャレスク(英語表記)picturesque

翻訳|picturesque

デジタル大辞泉 「ピクチャレスク」の意味・読み・例文・類語

ピクチャレスク(picturesque)

[形動]《「ピクチャーレスク」とも》絵のようなさま。美しいさま。「ピクチャレスク都市景観が広がる」
[類語]ビューティフルピトレスクラブリービューティープリティー美しい麗しいきれい秀麗端麗美麗流麗壮麗見目好い見目麗しい端整佳麗艶美艶麗あでやか妖艶豊麗妖美見好い小綺麗美妙典麗身綺麗美美びびしいきらやか鮮やか華麗華美鮮麗清麗優美美的妖麗楚楚そそ清楚せいそ瀟洒しょうしゃあか抜けこざっぱり洒落しゃれ小洒落こじゃれスマートシックドレッシー純美玲瓏れいろう着映えきらびやか洒落しゃれ薄皮のけたよう

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精選版 日本国語大辞典 「ピクチャレスク」の意味・読み・例文・類語

ピクチャレスク

〘形動〙 (picturesque) 絵のようであるさま。絵のように美しいさま。
唐人お吉(1928)〈十一谷義三郎〉一「さうして、そんな、美景と明るい空とに囲まれて〈略〉持前のピクチャレスクな生活を、呼吸してゐるが」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピクチャレスク」の意味・わかりやすい解説

ピクチャレスク
picturesque

美術・建築用語。 17世紀ベネチア派の絵画に特有な視点が 18世紀のイギリスに入り,同国の自然風景を再認識しようとする芸術上の流行のなかから形成された美的概念。自然界の荒々しく粗野な形態と構成をよしとする美学理論は W.ギルピンが 1770年頃まとめ上げたが,それ以前から,C.ロランや S.ローザらロマン派の画家たちは荒涼として幻想的な画風を追求し,また W.ケントは風景画に似せた庭園 (風景式庭園 ) を設計して先駆的役割を果した。 18世紀末の U.プライスと R.ナイトの長い論争を経て,知的法則によらず,直接の観察を通じ感覚上でのみとらえられる美と定義され,古典美学の理想調和に代る美的基準として哲学にまで高められた。その本質は形態と配置,特に光と色彩の多様な複雑さとそれらの全体的統合にあるとし,構成要素として荒々しさ,突然の変化,不規則性を主張した。直接影響された絵画作品は少なかったが,その感覚的価値観は建築と庭園のデザインを支配するところとなり,前者では非整形,非対称な建築形態への関心からゴシック様式を復活させるとともに,保存運動を起した。のちに当初意味はまったく失われて,無定形あるいは普通でないものを組合せて総体的効果を得るための法則と化した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピクチャレスク」の意味・わかりやすい解説

ピクチャレスク
ぴくちゃれすく
picturesque

18世紀末ごろ、イギリスで隆盛をみせた美的概念・態度。イタリア語のピットレスコpittorescoに由来するこの語の定義をめぐり、当時さまざまな論議が展開された。まずW・ギルピンが、自然の景観に、クロード・ロランに代表されるような、17世紀風景画の美をみいだすことを目的とした「ピクチャレスクな旅行」を唱導したのに続いて、U・プライスが、E・バークの提唱した「崇高」や「美」とまったく別個の美的範疇(はんちゅう)としてこの語を定義し、「粗荒さ」「不規則性」「突然の変化」「想像力を刺激する力」などに特質があるとした。こうしたプライスの影響を受けて、建築家ジョン・ナッシュは、造園家ハンフリー・レプトンと組んで、建築や風景式庭園でピクチャレスクを実践しようと試みた。ともあれ、1770年ごろからしだいに流行をみせたピクチャレスクな旅行は、多くの画家に自国の風景に対する目を開かせ、イギリス風景画の隆盛に大きい刺激を与えることになった。

[谷田博行]

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