ニューカッスル・アポン・タイン(読み)にゅーかっするあぽんたいん(英語表記)Newcastle upon Tyne

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ニューカッスル・アポン・タイン
にゅーかっするあぽんたいん
Newcastle upon Tyne

イギリス、イングランド北東部、タイン・アンド・ウェア大都市県の港湾工業都市。同県と北隣のノーサンバーランド県の県都を兼ね、イングランド北東部一帯の中心都市となっている。人口25万9573(2001)。サウス・シールズサンダーランドなど近隣諸都市を含むタインサイド大都市圏を形成する。

 北海に注ぐタイン川河口から最初の渡河点(河口から13キロメートル上流)を防備するため、ローマ人の砦(とりで)が築かれたのが町の起源。今日の地名は、1080年ウィリアム1世(征服王)の長子ノルマンディ公爵が同じ場所に新しい城(ニュー・カッスル)をつくったことに由来する。城の本丸、城門と城壁の一部は今日なお保存され、14世紀初期に完成した市の壁(一部残存)や14世紀の教会、17世紀のギルドハウスがいまに残る。市の発展期は産業革命(18~19世紀)の時期に一致し、石炭積み出しと造船を軸に繁栄した。今日でも国内有数の港湾施設を有し、造船業が発達する。しかし20世紀に入ってからは、商業、サービス、行政、文教などの中心地としての機能が強まった。整備された都心部は建築家ドブソンJohn Dobson(1787―1865)らにより、1825~40年に完成した。総合大学、古代博物館など文教施設が多い。なお、イングランド西部スタッフォードシャー県にはニューカッスル・アンダー・ライムNewcastle-under-Lyme(人口7万4600、2002推計)があり、正称を用いて区別している。

[久保田武]

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百科事典マイペディア の解説

ニューカッスル・アポン・タイン

英国,イングランド北東部,タイン川河口近くに位置する工業都市。タイン・アンド・ウィア特別州の州都。略称ニューカッスル。ノーサンバーランド・ダーラム炭田の中心に立地し,造船,機械,化学,ガラスなどの工業が行われる。ローマ時代ハドリアヌス帝の堡塁東端で北辺防御の要塞(ようさい)であった。11世紀に新しい城が築かれ名の由来となった。14世紀以後石炭積出港として発達。18万9000人(2001)。
→関連項目ハドリアヌスの壁

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