トコロ(野老)(読み)トコロ(英語表記)Dioscorea tokoro

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トコロ(野老)」の意味・わかりやすい解説

トコロ(野老)
トコロ
Dioscorea tokoro

ヤマノイモ科のつる性の多年草。オニドコロともいう。日本各地の山野に普通にみられる。地上部は冬に枯れるが,地下茎は肥厚して長く伸び多数のひげ根を出す。葉は長柄をもつ心臓形葉脈がよく目立つ。雌雄異株で,夏に,葉腋から長い花序を出し,淡緑色の花をつける。雄花序は直立し花柄がさらに分枝して小花序に分れるが,雌花序は分枝しないで下垂する。地下茎は苦くて通常は食用にならないが,木灰汁などで煮て苦みを取り,食用とするところもある。また地下茎が多数のひげ根を出した状態を老人のひげに見立て,野老と呼んで正月の飾りに用いて長寿を願う。

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世界大百科事典(旧版)内のトコロ(野老)の言及

【いも(芋∥薯∥藷)】より

…東日本を中心に,正月にとろろを食べて無病息災を祈り,家屋の出入口の戸や屋敷にまいてヘビなどの害を予防する呪術的行事がおこなわれている。ヤマノイモとよく似たトコロ(野老)と呼ぶいもは,今では食べないが,神社の祭りや年中行事などに供え物として登場してくる。サツマイモはカライモ,トウイモ,リュウキュウイモとも呼ばれ,外来のいもであることを示しているが,このいもの伝来によって日本人の食生活は豊かとなり,飢饉からも救われたため,各地に伝来の記念碑が建てられている。…

※「トコロ(野老)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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