チドメグサ(読み)ちどめぐさ

改訂新版 世界大百科事典 「チドメグサ」の意味・わかりやすい解説

チドメグサ (血止草)
Hydrocotyle sibthorpioides Lam.

庭に生える小型のセリ科多年草。葉をもんで傷口にはれば止血の効果があるといわれ,血止草の名がある。茎はごく細くて地表をはい,節から根を出す。葉はほぼ円形で直径1~1.5cm,ごく浅く5裂し,表面は光沢があって冬も枯れない。初夏から秋にかけて葉腋ようえき)から短い柄のある,小さい散形花序を出し,緑白色の微細な花を数個つける。花は短い柄があり,花弁は5枚,おしべは5本,子房下位で,花の中央に2本の柱頭がある。果実は2個の分果に分かれ,分果は半円形で小さい。日本の本州以南から熱帯アジア,オーストラリア,アフリカに分布し,インドネシアでは食用とされている。

 野原水田のあぜ道にはノチドメH.maritima Honda,オオチドメH.ramiflora Maxim.が多く,山地にはミヤマチドメH.japonica Makinoがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チドメグサ」の意味・わかりやすい解説

チドメグサ
ちどめぐさ / 血止草
[学] Hydrocotyle sibthorpioides Lam.

セリ科(APG分類:ウコギ科)の多年草。茎は長く地面をはう。葉は円形で径約1.5センチメートル、浅く切れ込む。托葉(たくよう)は質が薄く、すぐに腐る。6~10月、葉のわきから1本の花序の柄を出して先端に頭状の散形花序をつくり、小さな白色花を密に開く。花序の柄は葉柄より短く、地表に広がる葉に隠れて目だたない。果実は球形で細い稜(りょう)がある。本州から沖縄の人家の庭や道端に普通に生え、アジアの熱帯地域に広く分布する。葉をもんで、その汁を傷口につけると血が止まるといわれるので、この名がある。

 チドメグサ属はツボクサ属などとともにチドメグサ亜科を構成し、単散形花序と単葉をもつ、セリ科のなかでも原始的な一群で、世界の熱帯を中心に約100種分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]

 チドメグサ属は分子系統の解析により、APG分類ではウコギ科に移された。

[編集部 2021年11月17日]


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百科事典マイペディア 「チドメグサ」の意味・わかりやすい解説

チドメグサ

セリ科の多年草。本州〜沖縄,東南アジア,オーストラリアなどに広く分布し,平地に普通にはえる。暖地では常緑。茎は細く,地上をはい,節からひげ根を出す。葉はまるく,縁は浅く裂け,上面にはつやがあり,柄は長い。夏〜秋,葉腋から花柄を出し,10個内外の小さな白色花をつける。葉を傷にはり,血止めに用いたので,この名がある。近縁にオオバチドメ,ノチドメ,ヒメチドメなどがある。

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