タイトゴメ(読み)たいとごめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイトゴメ」の意味・わかりやすい解説

タイトゴメ
たいとごめ / 大唐米
[学] Sedum japonicum Siebold ex Miq. subsp. oryzifolium (Makino) H.Ohba
Sedum oryzifolium Makino

ベンケイソウ科(APG分類:ベンケイソウ科)の多年草。地表をはう茎から多数直立または斜め上に伸びる枝が出て密生する。葉は互生し、普通は密につき、長さ3~7ミリメートルの米粒状。5~7月、枝の先端に3~10花からなる集散状の花序をつける。花は5数性の放射相称で、径1センチメートルほどである。萼(がく)は基部から離生し、緑色で葉と同様に肉質となる。花弁披針(ひしん)形で水平に開き、濃黄色で長さ5ミリメートル。雄しべは10本で直立し、葯(やく)は濃黄色である。雌しべは基部でわずかに合着するだけの5個の子房からなる。子房の外側基部に微小な蜜腺(みつせん)があり、この蜜を求めて昆虫が訪花する。果実期になると各子房の内側が膨らみ、果実は星形の袋果となる。種子線形で長さ約1センチメートル。関東地方以西の本州から九州奄美(あまみ)大島が南限)に分布し、海岸の岩上に多い。北陸の海岸には本種に似たメノマンネングサが分布する。

[大場秀章 2020年3月18日]


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百科事典マイペディア 「タイトゴメ」の意味・わかりやすい解説

タイトゴメ

ベンケイソウ科の多年草。関東〜九州,朝鮮半島暖地の海岸,岩石地などにはえる。全体にメノマンネングサマンネングサ)によく似ていて変種とされることもあるが,葉は太く,先が丸い。夏,枝の先に多数の黄色5弁花をつける。心皮は5個で直立し,果実が熟するにしたがって斜めに開く。名は大唐米で,葉の形が米粒に似ることによる。

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世界大百科事典(旧版)内のタイトゴメの言及

【マンネングサ(万年草)】より

…葉が対生する種にはマルバマンネングサS.makinoi Maxim.がある。葉が互生の種群には,高山や亜高山に生え,小型で,茎葉が赤紫色に染まり,葉は線状円柱形で,葉幅2mm以下のミヤママンネングサS.senanense Makino(染色体数2n=18),海岸岩上に生え,葉は卵形で長さ7mm以下,葉幅2~3.5mmのタイトゴメS.oryzifolium Makino(染色体数2n=20),平地の人家近くの岩場や石垣に生え,冬季には茎葉が赤くなり,葉が線状円柱形で長さ6~18mm,幅2~3.3mmのメノマンネングサS.japonicum Sieb.(染色体数2n=29,38,48),渓流の岩上に生え,葉がさじ形のヒメレンゲS.subtile Miq.,越冬一年草で,道路やあぜ道などに見られ,葉腋(ようえき)に不定芽をつくり繁殖するコモチマンネングサS.bulbiferum Makinoなどがある。これらは日本産の代表種である。…

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