奄美(読み)あまみ

精選版 日本国語大辞典 「奄美」の意味・読み・例文・類語

あまみ【奄美】

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デジタル大辞泉 「奄美」の意味・読み・例文・類語

あまみ【奄美】

鹿児島県、奄美大島にある市。大島つむぎの主産地。黒糖焼酎造りも盛ん。平成18年(2006)3月に名瀬市・住用村・笠利町が合併して成立。旧笠利町は龍郷たつごう町をはさんだ飛び地。人口4.6万(2010)。
奄美群島」「奄美大島」の略。

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日本歴史地名大系 「奄美」の解説

奄美
あまみ

奄美という呼称は史料上七世紀半ばまでさかのぼり、その範囲は必ずしも一定しないが、ここでは八つの島嶼、すなわち喜界きかい島・奄美大島・加計呂麻かけろま島・うけ島・与路よろ島・徳之島・沖永良部おきのえらぶ島・与論島の総称とする。いわゆる琉球弧の一部を構成しており、明治一三年(一八八〇)と考えられる大隅国大島郡各里程調(熊毛・馭謨・大島三郡地誌備考)は鹿児島から奄美各島までの里程を記し、大島名瀬なぜまでは二〇三マイル余、陸路里程九千五三一町、大島の周廻は五九里一八町余となっている。なお近世には与路島・請島・加計呂麻島と大島の四島を大島と総称した(大島私考)

〔奄美の黎明〕

奄美諸島は九州島や沖縄諸島から影響を受けながらも島嶼独自の文化圏を形成しているが、土器編年は縄文時代・弥生時代・古墳時代という区分を用いる。昭和三〇年(一九五五)大島の笠利かさり宇宿うしゆく貝塚の発掘調査で、下層に出土した南島起源の宇宿下層式土器に共伴して九州の縄文後期の市来式土器と、種子島・屋久島・口永良部くちえらぶ島に分布の中心をもつ一湊式土器が出土した。それまでは縄文時代に相当する土器を宇宿下層式、弥生時代以降に相当する土器を宇宿上層式とおおまかに区分していたが、この発見によって本土の縄文土器と南島の土器との時間的対比が可能になり、編年研究が進展した。笠利町の土浜つちはまヤーヤ遺跡は奄美諸島で最初に発見された旧石器時代の遺跡として、同町喜子川きしがわ遺跡は旧石器時代および縄文草創期の時期決定の鍵層となる姶良あいらカルデラ起源のAT火山灰(二万四千年前―二万二千年前)と、鬼界きかいカルデラ起源のアカホヤ火山灰(約六千四〇〇年前)を奄美諸島以南で初めて検出したことで学史上重要な遺跡として知られる。また徳之島伊仙いせん町の天城あまんぐすく遺跡は約三万年前と推定され、現時点で南島最古の遺跡である。奄美諸島出土の旧石器は東南アジアのある地域から移住・拡散してきた人々の文化であり、台湾経由とする主張があるが、検討を要する。

縄文草創期・早期の遺跡はまだ確認されていないが、縄文前期になると九州本土系の縄文文化は南西諸島に強い影響力を及ぼすようになる。南島出土の爪形文系土器の年代はかつて考えられていたよりもはるかに新しく、アカホヤ火山灰の噴出以後、縄文前期相当の時代であることが確かめられている。喜子川遺跡のアカホヤ火山灰層の上から爪形文土器が発見され、九州の草創期に属する爪形文土器(一万二千年前―一万年前)とは異なる系統のものである可能性が強いことを示唆している。

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改訂新版 世界大百科事典 「奄美」の意味・わかりやすい解説

奄美[市] (あまみ)

鹿児島県奄美大島の北部にある市。2006年3月名瀬(なぜ)市と笠利(かさり)町,住用(すみよう)村が合体して成立した。笠利町の地域は飛び地となった。人口4万6121(2010)。

奄美市北東部の旧町。旧大島郡所属。人口6784(2005)。奄美大島北東端に位置し,三方を海で囲まれ,中央部を標高200m以下の山々が南北に連なる。海岸線には500m内外のサンゴ礁が発達し,東部海岸は砂丘が多く,西部海岸には笠利湾が湾入する。産業は大島紬の生産とサトウキビの栽培が中心で,製糖工場があり,畜産,野菜,花卉の栽培も行われる。南部の和野には奄美空港があるが,旧空港から約3km北のサンゴ礁を埋め立てて新たにジェット機の発着する新空港が建設された(1988開港)。海岸一帯は奄美群島国定公園に属し,北東部海岸の字用(よう)地先海面は海中公園地区に指定されている。町内には宇宿貝塚をはじめ先史時代の貝塚,遺跡が多い。

奄美市南西部の旧村。奄美大島中東部を占める。旧大島郡所属。人口1784(2005)。北東部は旧名瀬市に隣接する。南,北,西の三方は急峻な山地,東の太平洋岸は急崖の連続するリアス式海岸で,平地に乏しい。集落は川内川,住用川,役勝(やくがち)川流域や海岸部のわずかな低地に散在,中心は住用川河口の西仲間で,国道58号線が通じる。古くから林業が盛んで,南部沿岸の戸玉にはチップ工場がある。農業はポンカン,サトウキビの栽培が中心で,肉牛の飼育も行われる。奄美大島特産の大島紬は,ほとんどの家で織られており,工場生産は少ない。住用川中流の神屋は亜熱帯性原生林とアマミノクロウサギ(特天)など特色ある動物が生息する地域として,湯湾(ゆわん)岳(694m)とともに国の天然保護区域に指定されている。住用川と役勝川の合流する河口の三角州地帯には,大規模なマングローブ林がある。
執筆者:

奄美市中部の旧市。奄美大島の北部を占める市。1946年市制。人口4万1049(2005)。北に向かって開ける名瀬湾の名瀬港を核に市街地が発達する。1720年(享保5)薩摩藩が奄美諸島での糖業経営のため代官所を置き,以後諸島の政治,経済の中心となった。1875年大島支庁設置,第2次大戦後は一時アメリカ軍政下にあった。1953年日本に復帰し,再び支庁が置かれた。最も重要な産業は大島紬の生産で,問屋も集中して流通の中心ともなっている。野菜,ポンカンやタンカンの栽培,養豚が盛んで,カツオ,マグロなども漁獲する。名瀬港は鹿児島,大阪,東京,沖縄への船の寄航地。ハイビスカス,ソテツ,アダンなどの植物,サンゴ礁の海岸など南国の風光に富み,特にガジュマルの群落がある朝仁海岸,海水浴場の大浜海岸,東シナ海の展望地おがみ山などが有名。八月踊が伝わる。
執筆者:

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「奄美」の解説

あまみ【奄美】

鹿児島の黒糖焼酎。酒名は、奄美特産の黒糖焼酎の代名詞となることを願い命名。白麹を使用し常圧蒸留で造る。「神之嶺」は22年熟成酒をベースに樫樽貯蔵の原酒をブレンドした大古酒。原料は黒糖、米麹。アルコール度数25%、30%など。蔵元の「奄美酒類」は昭和40年(1965)徳之島の酒造蔵6社が協業し設立。所在地は大島郡徳之島町亀津。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「奄美」の解説

奄美

鹿児島県、奄美酒類株式会社が販売する黒糖焼酎。徳之島にある5つの蔵元で原酒を製造。同社でブレンド、製品化している。

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