ズアカアオバト(英語表記)Treron formosae; whistling green pigeon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ズアカアオバト」の意味・わかりやすい解説

ズアカアオバト
Treron formosae; whistling green pigeon

ハト目ハト科。全長 35cm。全身ほぼ一様に暗緑色で,背面はやや色が濃く,下尾筒に淡黄白色の横斑がある。肩部は多少赤紫色を帯びている。日本本土のアオバトによく似ているが,体が大きいうえに羽色が濃く,鳴き声が異なる。屋久島種子島以南の南西諸島タイワン(台湾)フィリピン北部に留鳥として分布する。台湾亜種には頭頂に赤い部分があり,これが和名の由来となったが,日本にすむ亜種にはない。森林や村落近くの林に生息し,「ぽー,ぺぽー,ぽー」と尺八に似た声でよく鳴く。このため別名シャクハチバトという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ズアカアオバト」の意味・わかりやすい解説

ズアカアオバト
ずあかあおばと / 頭赤青鳩
red-capped green pigeon
[学] Sphenurus formosae

鳥綱ハト目ハト科の鳥。南西諸島から台湾、フィリピンにかけて分布する。全長約35センチメートル。全身が暗緑色で、生態なども同属の別種アオバトに似る。4亜種のうち、日本では沖縄本島以北の南西諸島に分布するリュウキュウズアカアオバトと、それより南のチュウダイズアカアオバトが留鳥として多くみられるが、ともに頭上には赤い模様はない。

[竹下信雄]

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世界大百科事典(旧版)内のズアカアオバトの言及

【アオバト(緑鳩)】より

…塩分の補給のために,海岸に出て磯で塩水を飲む習性がある。近縁種のズアカアオバトS.formosae(英名red‐capped green pigeon)は,屋久島,種子島以南の南西諸島の森林に生息し,個体数は多い。この鳥はポー,ポー,ペポーと尺八の音によく似た声を出すので,シャクハチバトという別名がある。…

【ハト(鳩)】より

…カンムリバト亜科はニューギニア地方特産で,カンムリバト属Gouraの3種だけからなり,オオハシバト亜科はサモア島特産のオオハシバト1種だけを含む。 日本にはカラスバトColumba janthina,リュウキュウカラスバトC.jouyi,オガサワラカラスバトC.versicolorシラコバトStreptopelia decaocto(イラスト),ベニバトS.tranquebaricaキジバトS.orientalis(イラスト),キンバトChalcophaps indica,アオバトSphenurus sieboldii,ズアカアオバトS.formosaeの9種が分布するが,小笠原諸島特産のオガサワラカラスバトと琉球諸島特産のリュウキュウカラスバトは絶滅した。これらによく似たカラスバトは伊豆諸島や西南日本の離島に分布し,全身光沢を帯びた紫黒色の大型のハトである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」