スタンド油(読み)スタンドユ(英語表記)stand oil
polymerized oil

デジタル大辞泉 「スタンド油」の意味・読み・例文・類語

スタンド‐ゆ【スタンド油】

重合油一つ空気を遮断した状態乾性油まはた不乾性油加熱し、重合させた油。印刷用インク、エナメル塗料などに利用される。濃化油スタンドオイル

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改訂新版 世界大百科事典 「スタンド油」の意味・わかりやすい解説

スタンド油 (スタンドゆ)
stand oil
polymerized oil

亜麻仁油などの乾性油を,二酸化炭素を送り空気を遮断して,300℃前後に加熱して重合させ,粘度を増加させた油。印刷インキ,塗料などの製造に用いられる。以前は原料油をかまに入れて直火で加熱し,発生する油の蒸気に火をつけ(亜麻仁油の引火点は285℃),次に適当な時期にふたをして,そのまま消火・放冷する方法が用いられたといわれる。乾燥性はボイル油に劣るが,乾燥すると光沢および弾力性のある平滑塗面を与える。石版ワニス印刷ワニス,焼きワニス,濃化油などとも呼ばれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタンド油」の意味・わかりやすい解説

スタンド油
すたんどゆ
stand oil

あまに油、桐油(きりゆ)などの乾性油を、空気を遮断して300℃近くに加熱し、重合させたものである。塗料原料となる。乾燥性はボイル油(空気を吹き込みながら加熱し、乾燥剤を添加したもの)に劣るが、乾燥膜の耐水性は勝る。速乾性、良浸透性、良好塗膜硬度であり、顔料に対し相対的に油分が少ない下塗り用ボイル油には、桐油のスタンド油を多く含んだものがある。

 空気を断った加熱により、あまに油などの非共役二重結合(この場合、複数の二重結合がメチレン基1個を隔てて存在する)の一部が、共役二重結合(複数の二重結合が隣り合って存在)になる。生成あるいは既存の共役二重結合を含む分子は、他の二重結合を含む分子と加熱反応し環化重合する。

[福住一雄]

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化学辞典 第2版 「スタンド油」の解説

スタンド油
スタンドユ
stand oil

濃化油ともいう.あまに油,または,えの油を主体とする乾性油の混合物を,空気と遮断して300~320 ℃ に加熱して重合させた粘ちゅうな重合油.印刷インキ,エナメル塗料,リノリウムの製造などに使用される.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタンド油」の意味・わかりやすい解説

スタンド油
スタンドゆ
stand oil

亜麻仁油などの乾性油を 300℃前後の高温で加熱重合して得られる粘稠油。一般に粘度が大きくなると酸価は高く,ヨウ素価は低くなる。色調はやや劣るが,塗膜の乾燥が速いので塗料用原料,印刷用インキ,エナメルなどに利用される。

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