ヨウ素価(読み)ヨウソカ

化学辞典 第2版 「ヨウ素価」の解説

ヨウ素価
ヨウソカ
iodine value

脂肪などの試料100 g が吸収するヨウ素質量(g)の値をいう.この値は,試料中の不飽和脂肪酸二重結合の数を表すもので,この値の大きさは,不飽和脂肪酸の含有量の多さ,またはその脂肪酸の不飽和度の高さを示す.脂肪油はヨウ素価によって分類され,ヨウ素価が130以上のものは乾性油(あまに油きり油など),100~130のものは半乾性油(大豆油綿実油など),100以下のものは不乾性油(オリブ油,ひまし油つばき油など)である.測定法には,JIS法,ウィイス(Wijs)法,ヒューブル(Hübl)法,ハヌス(Hanus)法などがある.JIS法は,試料100 g をシクロヘキサンに溶解し,既知量の一塩化ヨウ素溶液を加えて暗所に放置後,一定量のヨウ化カリウムと水を加え,チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する.溶液の色が薄い黄色になったら,デンプン溶液を加えて青色が消えるまで滴定し,試料と反応したヨウ素の質量を求める(JIS K 0070).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウ素価」の意味・わかりやすい解説

ヨウ素価
ようそか
iodine value

油脂類の特性を示す数値の一つで、100グラムの油脂に吸収されるヨウ素のグラム数。実際には、一塩化ヨウ素IClの吸収量を測定し、その値から算出する。塩化ヨウ素は不飽和脂肪酸のC=C二重結合と反応するので、ヨウ素価は油脂に含まれている脂肪酸の不飽和の度合いを表す数値である。不乾性油では100以下、半乾性油は100~130、乾性油では130以上のヨウ素価を示す。ヨウ素価は二重結合の存在量と関係があるので、酸敗酸化水素化などの二重結合を含む化学変化によりその値が変化する。

[廣田 穰 2016年11月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨウ素価」の意味・わかりやすい解説

ヨウ素価
ヨウそか
iodine value

油脂の不飽和性を表わす値の一つ。試料油にハロゲンを作用させて,吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し,試料に対する百分率で表わす。普通は一塩化ヨウ素または一臭化ヨウ素が使われる。この値の大小により乾燥性を予想できる。乾性油であるきり油,麻の実油などで 130~200,不乾性油のつばき油,オリーブ油などで 95以下とされている。また,酸敗,酸化,水素添加などにより,ヨウ素価は小さくなる。

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栄養・生化学辞典 「ヨウ素価」の解説

ヨウ素価

 油脂がどの程度不飽和結合をもっているかの指標.油脂の中の二重結合が分子状ヨウ素によって酸化される反応を利用して,消費されるヨウ素の量から不飽和度を知る.

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