シリアゲコバチ(読み)しりあげこばち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シリアゲコバチ」の意味・わかりやすい解説

シリアゲコバチ
しりあげこばち / 挙尾小蜂

節足動物門昆虫綱膜翅(まくし)目シリアゲコバチ科Leucospididaeの昆虫の総称和名は、産卵管を尻(しり)に見立てて、この産卵管を腹部の背面に背負っている珍しい形をしたコバチであることから名づけられた。世界に広く分布し、体長1センチメートル内外のものが多い。前ばねは静止時には縦に畳まれる。体は黒色で黄色の斑紋(はんもん)があり、後ろ脚(あし)の腿節(たいせつ)は太くて、鋸歯(きょし)がある。スズメバチ科、ジガバチ科、ハキリバチ科などの巣内の幼虫に寄生する。幼虫は闘争性があり、よく共食いをする。日本には、各地のほか朝鮮半島、シベリア、中国、台湾に分布するシリアゲコバチLeucospis japonicaと、本州、四国、九州、南西諸島に分布するオキナワシリアゲコバチL. okinawensisがいる。

[立川哲三郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリアゲコバチ」の意味・わかりやすい解説

シリアゲコバチ
Leucospis japonica

膜翅目シリアゲコバチ科。体長 11~14mm。体は黒色で,黄色の斑紋がある。前胸背は前方に突出し,頭部は小さく,その下方につく。腹部はやや側圧され,雌の産卵管は長く,背方に曲り,背中に負う格好となっている。後肢の基節は長く,腿節は卵形にふくらみ,その下縁は鋸歯状になる。狩人蜂や孤独性ハナバチの幼虫に寄生する。日本全土,朝鮮,中国,台湾,ウスリー,インドなどに分布する。

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