コバチ(読み)こばち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コバチ」の意味・わかりやすい解説

コバチ
Chalcidoidea; chalcid wasp

膜翅目コバチ上科に属する昆虫総称。一般に微小なハチ体長2~5mmであるが,まれに 16mmに達するものもある。体は美しい金緑,青緑,青藍色のものが多く体形はきわめて変化に富む。頭部は幅広く,複眼は大きい。単眼は3個で,頭頂またはその前方に一列あるいは三角形状に配置される。触角は普通 10~13節であるが,それ以下のものもある。翅脈は著しく退化し,前縁脈と亜前縁脈しかないものもある。まれに翅を欠く。産卵管は腹端より前方から生じる。ほとんどが寄生蜂で,大多数の昆虫類がさまざまな態において寄生を受けるが,なかには虫 癭をつくるものや種子を食べるものもある。タマゴヤドリコバチトビコバチなど十数科から成り,昆虫類中の最小種を含む。世界に2万 5000種以上が知られ,多くの害虫天敵として重要視されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コバチ」の意味・わかりやすい解説

コバチ
こばち / 小蜂

節足動物門昆虫綱膜翅(まくし)目コバチ上科Chalcidoideaの昆虫の総称。和名は「小さいハチ」を意味するが、昆虫学上では、単に体が小さいハチをすべてコバチと称するのではなく、分類学上コバチ上科という群をさす。学名はギリシア語で「銅色」を意味するように、体は金属光沢をもつものも多いが、体色はさまざまである。膜翅目のハチのなかでもっとも種類が多い大きい群である。翅脈はきわめて退化して単純化している。体長は0.2~20ミリメートルで、通常1~3ミリメートルのものが多い。すべて寄生バチであるが、昆虫に寄生するものと植物に寄生するものとがある。とくに害虫に寄生するものは天敵として重要な役割を果たしている。

 コバチ上科には、イチジクコバチ科、アシブトコバチ科、シリアゲコバチ科、カタビロコバチ科、マルハラコバチ科、アリヤドリコバチ科、コガネコバチ科、トビコバチ科、ツヤコバチ科、ヒメコバチ科、タマゴヤドリコバチ科などが含まれる。

[立川哲三郎]


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百科事典マイペディア 「コバチ」の意味・わかりやすい解説

コバチ

膜翅(まくし)目コバチ上科に属する昆虫の総称。きわめて種類が多い。いずれも微小種で,体長5mm以上の種類は少ない。他の昆虫の卵や幼虫に寄生する。そのため有効な天敵となる種類も多く,害虫の生物的防除研究はコバチの研究であるともいえるほどである。ルビーアカヤドリトビコバチなどが好例。またイチジク類と関連が深い(イチジクコバチ)ものや,他の昆虫に寄生している天敵に2重3重の寄生をする種類もある。

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デジタル大辞泉プラス 「コバチ」の解説

コバチ

体操、男子鉄棒競技の技。バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り懸垂。1979年発表。名称ハンガリーの体操選手、ピーター・コバチから。

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