オストヒルフェ(読み)おすとひるふぇ(英語表記)Osthilfe ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オストヒルフェ」の意味・わかりやすい解説

オストヒルフェ
おすとひるふぇ
Osthilfe ドイツ語

東部救済の意。ワイマール共和国末期にドイツ政府が行った東部農業救済措置。1929年の東プロイセン経済救済法に始まり、31年のオストヒルフェ法その他を通じて、全東部に拡大された。それは、初め東部ドイツの経済活動全般を援助することをうたっていたが、しだいに、不況に苦しむ地主農民の負債軽減(高利・短期の民間金融機関からの借金を、低利・長期の公的融資に借り替える)に重点を移し、29~33年の間に、政府は総額9億マルクを支出した。大恐慌と財政難の最中、政府がこのような巨額を農業につぎ込み、しかもその恩恵を受けたのが共和国に敵意をもつ東部の大地主=ユンカーであったことから、オストヒルフェは当時重大な政治問題となった。

[木谷 勤]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「オストヒルフェ」の解説

オストヒルフェ
Osthilfe

ヴァイマル共和国末期のドイツで,困窮する東部地域救済の名のもとに行われたユンカー救済策。ブリューニング内閣が1930年7月に発した緊急令に始まる一連の東部救済法によって東エルベの農業に巨額の融資が行われ,その大半がユンカーに流れた。ブリューニングはこの弊を改めようとしてユンカーの反対にあい,その失脚一因をつくった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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