エスケープ・クローズ(読み)えすけーぷくろーず(英語表記)escape clause

翻訳|escape clause

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エスケープ・クローズ」の意味・わかりやすい解説

エスケープ・クローズ
えすけーぷくろーず
escape clause

免責条項または逃避条項ともいう。国際条約などで、ある条文をそのままある特定の国に適用すると、その国に重大な支障が生じるため、協定全体が締結されなくなるおそれがあるような場合、その条文だけを適用免除して、協定を弾力的にし、受け入れやすくしようとする配慮から設けられる条項で、一種の例外規定である。よく知られている例としては、1995年ガット関税および貿易に関する一般協定)を引き継いだ世界貿易機関WTO)のガット第19条およびWTOセーフガード協定などがある。もともとガット(世界貿易機関)の基本理念は、世界貿易の発展を図るため、原則として自由な国際貿易を確立し、それを加盟国に無差別に適用することである。しかし、自由化に伴う輸入の急激な増加によって国内市場が攪乱(かくらん)され、その国の産業が予期しない重大な損失を被るおそれがあるような場合には、一時的なセーフガード措置として、この条文で、輸入制限や関税引下げの撤回などの措置が認められている。

志田 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「エスケープ・クローズ」の意味・わかりやすい解説

エスケープ・クローズ

免責条項と訳。協定などで一定権利義務を課するとき,ある場合には特例としてその権利・義務を適用しないという条項。最も有名なものはGATTの免責条項である。なお,保険用語でいう免責条項は,特定事由により保険金が支払われない際の規定を指す。具体的には,戦争その他の変乱による事故,地震,噴火津波などの天災地変,保険契約者自らが招いた事故など。

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